トランプ米大統領は25日午後、令和初の国賓として3泊4日の日程で来日する。波乱含みの世界経済、外交の鍵を握るトランプ氏との蜜月関係をアピールしたい安倍官邸は、ゴルフに大相撲観戦、炉端焼き店の夕食など、全力でおもてなしする方針だ。ただ1つ心配のタネが、26日のゴルフ。ラウンド予定のゴルフ場がある千葉県は当日、5月としては記録的な高温が予想されている。トランプ氏を出迎えるのは、まずは日本の猛暑となりそうだ。

トランプ氏は25日午後、大統領専用機で羽田空港に到着。都内のホテルで一泊し、26日午前、千葉県茂原市のゴルフ場で、安倍晋三首相と、通常の18ホールより短い16ホールを回る。今回の来日中、首相によるおもてなしイベントの第1弾。両首脳のゴルフは5度目で、政府関係者は「親密な関係をさらに深め、リラックスした雰囲気で幅広い意見交換を行う」と話す。

ラウンド後の昼食も、前回の来日ゴルフと同様、トランプ氏の大好物ハンバーガーが供される見通し。コース整備でアドバイスした縁から、プロゴルファー青木功氏も参加予定。トランプ氏は、前回17年11月に来日した際の夕食会で、青木氏を「パットの名人。今もその技術は失われていないと思う」とベタ褒め。レジェンドとの対面を、心待ちにしているに違いない。

ただ、関係者の間で懸念されるのが、突如始まった5月としては記録的な日本の暑さだ。気象庁は24日、千葉県内に「高温に関する気象情報」を発令。27日にかけて、広範囲で最高気温が30度以上の真夏日が予想されるとし、「5月としては記録的な高温になる場所がある」と指摘。暑さのピークは、ゴルフ当日の26日と見込まれている。

トランプ氏は温暖な米フロリダ州にゴルフ場を持ち、暑さの中のラウンドには慣れているかもしれないが、日本の猛暑は独特だ。前回の来日ゴルフは秋で、気温は問題にならなかった。

両首脳によるラウンドは「ゴルフ外交」の側面もあり、グリーン上での意見交換も予定されるが、今回ばかりは暑さとの闘いは避けられない。ゴルフ関係者は、「暑さに体が慣れたプロゴルファーは別だが、慣れていない人は熱中症になる心配もある。ショットを曲げて林に入れない限り、ゴルフ場には日陰もない」と指摘。「芝の照り返しも強く、乾燥もある。水を飲み、日傘をさすなど万全な対策が必要」と助言した。

ゴルフ後は、首相の提案で実現した大相撲観戦が控えており、“猛暑ゴルフ”のダメージは避けたいところ。両首脳は暑さに負けず、目的である「幅広い意見交換」に臨むことができるだろうか。【中山知子】