将棋の最年少プロ、藤井聡太七段(16)が25日、出身地である愛知県瀬戸市で行われた「瀬戸将棋まつり」にゲストとして出演し、会見に応じた。同市の市制施行90周年を記念した。ほかにもいろいろなイベント候補があったが、「市民の関心も高いし、地元に素晴らしい棋士がいるから」と将棋に落ち着いた。主催者である実行委員会は、「未来の名人」を呼ぶべく、昨年夏から日本将棋連盟と日程を調整していたという。

「地元でこんなイベントに出演させていただけて、うれしく思います」。藤井は時折、笑顔を交えて丁寧に対応した。

23日にはあこがれの羽生善治九段(48)が、故大山康晴十五世名人に肩を並べる歴代最多タイの1433勝を挙げた。6月3日の王座戦挑戦者決定トーナメント1回戦の佐々木大地五段(23)戦で勝てば、その羽生が待ち構えている。「途方もない数字で偉大な記録を達成された。王座戦は、その前の佐々木五段戦に全力を尽くしたい」と抱負を口にした。

4月下旬に都内のホテルで行われた、平成の将棋界を振り返るイベントでは、プロ入り後、初めてレンタルながら和服に袖を通した。「思っていたより着心地が良かった。また、対局で着られるように頑張りたい」。棋士が和服で盤に向かうのは、タイトル戦が大半だ。しかも、同じ愛知県出身の豊島将之名人(29)が誕生したばかり。「目標に頑張りたい」。言葉少なながら、頂点を目指す意気込みがうかがえた。