トランプ米大統領は25日、メラニア夫人とともに来日した。17年11月以来、約1年半ぶりの日本訪問で、令和初の国賓。防弾仕様の大統領専用車「ビースト」が移動する先では交通規制が敷かれ、東京都心は過去最大級の厳戒態勢に入った。到着直後の経済界との会合では、日米貿易赤字解消に強い期待を表明。安倍晋三首相によるゴルフや大相撲観戦、炉端焼きの「接待攻勢」はあっても、言いたいことは言う「トランプ流」で早くもけん制した。

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トランプ氏とメラニア夫人は25日夕、大統領専用機エアフォース・ワンから羽田に降り立った。河野太郎外相が出迎えた。前回の来日時は、米軍横田基地を利用。羽田への大統領専用機の飛来は久しぶりで、航空ファンら500人以上がカメラを手に見守った。

トランプ氏は、羽田から東京都港区の駐米大使公邸に直行し、日本企業トップらとの会合に出席。その場でいきなり、日米間の貿易を公正な関係にすべきだと持論をぶち、日本側に先制攻撃を仕掛けた。

対日貿易赤字に不満を示すトランプ氏は、この日も「日本は長い間有利に立ってきたが、もう少し公平な貿易関係にできるはず」と主張。不均衡の是正や日本側の非関税障壁の撤廃を目指すとした上で、「数カ月のうちに、貿易に関していくつかの発表ができることを期待している」と、交渉進展に強い期待を示した。

ソフトバンクグループの孫正義会長兼社長や、トヨタ自動車の豊田章男社長ら自動車メーカーのトップなど約30人が参加。トランプ氏は対米投資への謝意とともに、さらなる投資も要請した。日本との経済関係を「今ほど緊密で強い時はない。令和の時代により強く強固にしたいと心から願う」と訴え、首相との関係も「特別だ」と強調した。

日米貿易問題は、27日の日米首脳会談でも取り上げられる見通しだが、首相は議論の深入りは避け、交渉加速を確認し合うことにとどめたい考えだ。この日、都内で強硬派のライトハイザー通商代表との協議に臨んだ茂木敏充経済再生担当相は終了後、「現段階で日米の立場は一致していない」と述べた。首脳会談で何らかの合意が得られることはないとの見通しを示し、早くも予防線を張った。

トランプ氏にくぎを指された格好の首相は、SNSに「明日、ご夫妻とお会いするのを楽しみにしています!」と投稿。26日は、ゴルフ&大相撲観戦&東京・六本木での炉端焼きディナーと、「接待攻め」の1日。まずはおもてなしに徹することになりそうだ。