将棋の最年少プロ、藤井聡太七段(16)が25日、地元・愛知県瀬戸市の市文化センターで行われた「市制施行90周年 瀬戸将棋まつり」に出演した。午後1時から子供12人を相手に指導対局。同3時からは地元初の公開対局として、9年ぶりにA級復帰したトップ棋士、木村一基九段(45)と対戦した。こちらは得意の終盤力を発揮し、約1500人の観客の前で勝利した。

地域貢献やファンサービスにフル稼働した。厳しい対局が続く合間のひととき。普及活動は、棋士の重要な公務でもある。「地元でこのようなイベントが行われ、うれしく思います」と終始、笑顔だった。

藤井の存在が、瀬戸物で有名な人口約13万人の町を動かした。90周年記念行事の候補の中から、「皆さんの関心が高く、期待の星がいる」と将棋に決まった。昨年8月、藤井を応援し、瀬戸を東海地方の将棋タウンとして売り出す「瀬戸将棋文化振興協会」も発足した。ここが母体になり、今回初めて、将棋まつりの開催にこぎつけた。

今日26日も開催されるが、藤井の出演は25日だけ。瀬戸市によると、次回の開催は市民の反応を聞いてからという。「目の前の対局に全力を尽くしたい」と頂点を目指す、期待の星の活躍次第では、タイトル戦の招致も視野に入りそうだ。【赤塚辰浩】