トランプ米大統領は26日、自身のツイッターに日本との間の貿易交渉について「(夏の)参院選までは、交渉の多くのことで取引を待つ」と投稿した。安倍晋三首相との友好関係を気遣い、農業分野をめぐる協議が参院選に影響を及ぼさないよう考慮したとみられ、早期の妥結を急がない姿勢を強調した。「日本との貿易交渉は大きく進展している」との認識も示した。

トランプ氏は「農産物の関税をなくしたい」と撤廃や引き下げを求め、一時は5月中の貿易協定締結にも言及。対日貿易赤字に不満を示しており、25日も「日本は長い間有利に立ってきた。もう少し公平な貿易関係にできるはず」と訴えたが、突如、参院選後への先送りに言及した。

参院選の結果は首相の政権運営に影響する。貿易問題を争点にしたくない首相は、選挙での「農業票」確保に影響しないよう働き掛けたとみられる。トランプ氏ばりの「ディール(取引)」にみえるが、選挙重視は、トランプ氏も同じだ。

米国は、離脱した環太平洋連携協定(TPP)が発効したことで、米農家の牛肉などの輸出に悪影響が出かねない状態。米農村地帯は「ファームベルト」と呼ばれ、トランプ氏の重要な支持基盤だ。来年、再選がかかる大統領選を前に安易な妥協は避けたいトランプ氏には、参院選後なら日本から譲歩を引き出しやすいと思惑があるのは間違いない。選挙対策で双方の思惑が一致したとみられる。

日米関係筋によると、米大統領選が本格化する9月の日米首脳会談で、貿易交渉の大枠決着が図られるシナリオが練られているという。しかし参院選を前にした「選挙対策」の出来レースとなれば、日本国内の反発も広がる可能性もある。