28日午前7時40分ごろ、川崎市多摩区登戸新町の路上で、私立カリタス小学校（多摩区）のスクールバスを待っていた児童17人、大人2人の計19人が男に次々と刃物で刺された。小学6年の女児（11）と、別の児童の保護者の男性（39）が死亡し、3人が重傷。男は同市の岩崎隆一容疑者（51）で、児童らを襲撃後に自分で首付近を刺し、死亡が確認された。目撃者によると「ぶっ殺すぞ」と叫んだという。県警は殺人事件として捜査を始めた。学校側は会見で「本当に信じられない」と言葉を失った。

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朝の通学風景が、理不尽な無差別襲撃事件の現場に、一変した。

亡くなったのは、カリタス学園に通う東京都多摩区の小学6年、栗林華子さん（11）と、東京都世田谷区の外務省職員、小山智史さん（39）。小山さんはけがのなかった児童の保護者だった。ほかの17人のうち、小1などの女児2人と40代女性1人の計3人が重傷を負った。重傷の女児の1人は、胸に刺し傷があった。

現場は、カリタス小に通う児童らがスクールバスを待つ所。神奈川県警によると、事件を目撃したスクールバスの運転手は「両手に刃物を持った男が、停車しているバスに近づいてきた。止めようとしたが児童らを刺し始めた」と説明したという。男は丸刈りで眼鏡をかけ、黒いシャツとズボン姿。男はその後、さらに登戸駅の方向に数十メートル歩き、自分で首を刺したという。男は身柄を確保されたが、搬送先の病院で死亡が確認された。

目撃者の男性によると、子どもたちの「怖い」との悲鳴を聞き、声のする方を見ると、刃物を持った男が「ぶっ殺すぞ」と叫び、子どもたちが倒れていた。近くに住む女性は、自宅で「ぎゃー」という声を聞いた。10人ぐらいが倒れ、首から血を流していた子もいた。「お父さん、お母さん、どうしたらいいの」という声も聞こえたという。

同小のスクールバス運転手、吉田和弘さん（60）は「現場近くに着いたところ、異変があったのでバスから降りると、周囲は血の海だった。黒っぽい服の男が横たわっており、ぴくりとも動かなかった」と、沈痛な面持ちで話した。

搬送先の病院や市消防局によると、死亡した2人はいずれも首に刃物による深い傷があり、男には強い殺意があったとみられる。17人も刃物で切りつけられるなどし、傷は頭や肩など上半身に集中していた。

小山さんは首や肩のほか、背中にも傷があり、児童らを守ろうとして背後から襲われた可能性がある。

県警は殺人容疑などで多摩署に捜査本部を設置。計画的だった可能性があるとみて、詳しく調べている。

現場は、JR南武線と小田急線の登戸駅から北西約250メートルのマンションなどが立ち並ぶ一角。安倍晋三首相は28日、柴山昌彦文科相と山本順三国家公安委員長に対し、すべての小中学校で登下校時の安全確保と事件の迅速な全容解明を指示した。