将棋の羽生善治九段(48)が、通算勝利数でトップとなった。4日、東京・千駄ケ谷「将棋会館」で行われた第60期王位戦挑戦者決定リーグ白組プレーオフで、永瀬拓矢叡王(26)を倒した。これでデビュー以来、公式戦1434勝とし、故大山康晴十五世名人の最多勝記録を更新した。

【加藤一二三・九段の目】

「生涯、魂を込めて将棋の棋士という天職で頑張る」という気持ちが、羽生さんにはこもっていました。大山先生をはじめ、長い間トップで走り続ける棋士同様、「将棋が好き」「健康」「奥様や家庭の理解と支えがある」といった、コツもすべて持っています。

何よりタイトル獲得や、重要な対局を勝つことで、手応えのある経験が、人間を成熟させる。自負にもつながり、盤に向かえば常に最善の手を求めて考える。永瀬さんとの1局は、そんな羽生さんの将棋に対する取り組み方、職業意識が詰まっていた気がします。

6日の挑戦者決定戦は、先月30日の竜王戦で敗れた木村さんですが、ぜひ勝ってほしい。私も、羽生さんのタイトル100期獲得が見たいですから。