安倍晋三首相と野党4党首による党首討論が19日、約1年ぶりに開かれた。

各党首は「老後2000万円」の報告書問題に絞り、「年金制度の安心ばかりが強調され、国民の不安に向き合っていない」(立憲民主党の枝野幸男代表)、「政権の隠蔽(いんぺい)体質がアベノミクスの阻害要因だ」(国民民主党の玉木雄一郎代表)などと、報告書に向き合わない政府の姿勢を批判。首相は「大きな誤解が生じた」と反論したが、持論の主張に終始した。

一方、会期末の最大関心事となっている衆院解散の有無を直球で聞いたのは、4人の最年長、片山虎之助・日本維新の会共同代表(83)だけ。「他の党首は言いたくても言えない」と述べ、衆参ダブル選への準備が整わず解散に及び腰な野党の本音をあぶり出した。

最初、首相は「私の頭の片隅にはない」と発言。片隅以外にあるのか、議員がざわつくと「片隅にもないと言った方がいいかもしれない」。一方で「この後、どう展開するかは国会の皆さんに任せている。予測はできない」と、内閣不信任決議案が提出された場合の解散には触れなかった。首相と気脈を通じるベテラン片山氏は「首相は解散と為替(公定歩合)はうそを言ってもいい」と、応じた。

不信任決議案は、菅義偉官房長官が解散の「大義」と述べた経緯がある。討論後、枝野氏は解散を問わなかった理由を「聞いても本当のことを言わない」と述べ、不信任案提出には「いろいろ考えないと」と含みを持たせた。【中山知子】