通常国会は26日、閉幕した。安倍晋三首相が衆参ダブル選に踏み切るとの臆測が消えないまま最終盤を迎え、政府はこの日、ようやく参院選の日程を「7月4日公示-21日投開票」と正式決定。気づけば公示まで残り1週間で、与野党は選挙対策本部の立ち上げや公約発表など、ドタバタの中、雪崩を打つように選挙戦に事実上突入した。

安倍首相は国会閉会を受けた会見で、「衆院選をすると言ったことは1度もない。頭の片隅にもないと申し上げてきた」と、ダブル選を警戒してきた野党を皮肉るように語り、「令和の時代、新たな未来を切り開くためには、勝ち抜かなくてはならない」と、勝利への意欲を示した。

ただ、選挙戦直前になって「老後2000万円」問題の表面化し、公的年金に対する国民の不安が拡大。金融庁金融審議会の報告書受け取りを拒否した麻生太郎財務相の対応には、国民の批判も強い。野党は選挙戦の争点と位置づける構えで、与党側は2000万円問題ばかりに焦点が当たることを警戒。説明に追われるのは避けられない。首相はこの問題が「参院選に影響を与えうる」との認識を示した上で「年金は老後の生活の柱だ。具体的な政策をしっかりと訴えたい」と主張。「具体的対案もなく、不安をあおるような無責任な議論はあってはならない」と野党をけん制した。

12年前の参院選は「消えた年金問題」が影響し、安倍自民は大敗。第1次政権退陣の導火線になり、その後の政治は混乱した。首相は「安定した政治の下で新しい時代への改革を前に進めるか、再び混迷の時代に逆戻りするのか」が争点と主張。憲法改正の国会論議も、争点に位置付ける意向を示した。【中山知子】