作家の村上春樹氏(70)が26日、都内でDJに初挑戦したTOKYO FM「村上RADIO」の公開収録として、作家活動40周年記念ライブ「村上JAM」を開いた。村上氏は抽選で選ばれた150人のファンの質疑応答に応じた中で「小説が書けなくなったらジャズクラブみたいなのを、またやろうと思って」と語った。一方で「小説が書けなくなるのはねぇ…ちょっとねぇ、困っちゃうし」と複雑な心情をのぞかせた。

村上氏は、ファンの男性から「何かのインタビューでいつか青山でジャズバーを開きたいと言っていた件について」と聞かれると「それなんですよ!」と声を大にした。その上で「僕もね、小説が書けなくなったらジャズクラブみたいなのを、またやろうと思って、いろいろな準備してレコードもためたし、いろいろやってきたんだけど…幸か不幸か、まだ小説、書きたくって。出来ないんですよね。難しいところなんですよね、すごく」と苦笑した。

村上氏は、早大第一文学部を卒業して、1979年(昭54)に「風の歌を聴け」でデビューしたが、専業作家になる前の1974年(昭49)に東京・国分寺でジャズ喫茶「ピーターキャット」を開店。76年には同店を千駄ケ谷に移転し、営業するなどした経験を持つ。「だから、ジャズクラブもやりたいんだけど、小説が書けなくなるのはねぇ…ちょっとねぇ、困っちゃうしね」と本音を吐露した。専業作家になる前のラスト2年は兼業していたというが「なかなか両立は難しいですねぇ」と口にした。

仕事としてジャズを10年以上、聴いたという村上氏だが、レコードを集め始めたのは15歳だという。「15歳からレコードを集めて、1万を超えたところから数えていない。1万4、5000枚かな…CDは数えていない」と、レコードやCDのコレクションが膨大に上っていることを明かした。【村上幸将】