自民党本部が参院選前に備えて先月、党所属の国会議員に演説時の資料として配られ、その内容の過激さから「トンデモ本」として話題になっている「フェイク情報が蝕むニッポン トンデモ野党とメディアの非常識」が3日夜、TBS系の報道番組「news23」で放送された党首討論で取り上げられた。

この冊子はネット上のコラムをまとめたものとして、ネットメディア「テラスプレス」が発行。140ページにわたるが、サイトの運営組織や執筆者は不明だ。野党やメディアを酷評する半面、安倍晋三首相を持ち上げている。枝野幸男、玉木雄一郎、志位和夫の野党3党首をやゆしたイラストを掲載するなど、党内でも「炎上ものだ」などと敬遠されており、今となってはいわくつきの資料となっている。

この冊子について、番組に出演した、与党と良好な日本維新の会の松井一郎代表ですら「出所不明のものを自民党が配るのは大人げない」と、苦言を呈した。自身の顔を悪意に満ちた様子でイラスト化された玉木氏は「こういう冊子はやめてくださいよ」と、指摘。顔を犬のように描かれた志位氏は「コメントはいらないと思うが、人をおとしめるようなものを平気で出す。選挙をまじめにやる資格がないといわれても仕方ない」と、怒りをにじませた。

これに対し、首相は「党本部はいろんな冊子を配っているが、いちいち見ていない」「読んでいないので反論のしようがない」と述べ、「漫画なんかより、議論しましょう」と訴えた。

冊子を配布する際に、自民党が添えた文書の中には「近年野党や一部メディアで誤った情報を発信することがたびたび見受けられます。同書はこうした認識をただし、報道では語られていない真実を伝える内容となっています」と、評している。