参院選公示から一夜明けた5日、各候補者は各地で遊説を本格化させた。日本維新の会比例代表候補で政治団体「新党大地」代表の鈴木宗男氏(71)は、本土最西端の与那国島など沖縄地方を回った。5月に食道がんの手術を行ったばかりだが、公示から3日間で本土最東端、最西端、最北端を含め、総移動距離は計7000キロ以上。最後の選挙戦を「飛ぶ選挙」として、各地を精力的に飛び回る。

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公示日の4日に本土最東端に位置する根室市の納沙布岬で出陣式を行ったばかりの宗男氏が翌5日には、かりゆし姿で本土最西端の与那国島にいた。約1700人が住む与那国町の外間守吉町長から「参院選比例代表候補者が遊説に来たのは町が始まって以来」と言われ、町民から歓迎を受けた。宗男氏は「与那国島は国境に接する厳しさがあり不安を抱えている。中国との関係など、外交上の安全保障が重要だ」と訴えた。

過去の選挙戦でも精力的に各地を回った。選挙カーに飛び乗り、ハコ乗りする姿が有名になるなど、フットワークの良さでも知られる。「今回はまず最初に日本を縦断して、全国区候補だと認識してもらう」として、公示日から3日間で計7000キロ以上を回る異例のスケジュールを組んだ。5日は午前6時過ぎ羽田発の始発便で与那国島に飛び、石垣島、宮古島、那覇で遊説。午後9時前の那覇発最終便で帰京した。今日6日は本土最北端の稚内市の宗谷岬などを訪れる予定。

5日だけで計4214キロを移動。飛行機に6回搭乗した。搭乗中はサンドイッチや弁当を食べるなど食事の時間に充てているが、仮眠を取ることはないという。「日中は緊張感があって、寝ていられません。(選挙区ではなく比例代表出馬は)初めてで、20万人以上の人に名前を書いてもらわないといけないので、緊張と不安もあります」。

日本維新は参院選に向け地域政党との連携を強化する中、宗男氏が「ぜひ話を聞いてみたい」と申し出て、日本維新からの出馬が決まった。「年齢的にも最後の男の戦いになる。選挙に出るのは最後」とし、北方領土問題解決などに尽力すべく、9年ぶりの国政復帰を目指す。食道がん手術からわずか1カ月半。長距離移動の連続も涼しい顔だ。「気合です。最後の戦いなので、悔いのないように戦いたい。飛び続けます」と力強く宣言した。【近藤由美子】