大阪選挙区(改選数4)は主要6政党を含めて計12人が立候補する全国屈指の激戦区となった。

弁護士やタレント、元リポーターなど顔ぶれも多彩だ。地方統一選などで勝利を重ねた日本維新の会は現職と新人の2人を立て、攻勢に出た。1人区では共闘する野党も、大阪では維新の勢いに警戒感を強めながらも、火花を散らしている。

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「美しすぎる弁護士」と言われる立憲民主党の亀石倫子氏(45)が激戦の大阪で苦戦している。水色の上下に灰色のスニーカー姿。連日、大阪の街でマイクを握る。「この10年、大阪の方々の相談を受けてきました。借金、離婚、事件…。この社会を覆っている閉塞(へいそく)感。なにか息苦しい。だれにとっても自由に生きられるフェアな社会にしたい」。

北海道出身の亀石氏は大手通信会社の水が合わず、結婚を機に退職。34歳で司法試験に合格した。09年に大阪弁護士会に登録。裁判所の令状なしに捜査対象者の車などにGPS端末を付ける捜査を17年に最高裁が「違法」とした裁判の主任弁護人を務めて時の人になった。

テレビの報道番組にも多数出演し、全国的な知名度もある。選挙戦では幅広い層へのアピールを目指すが、大阪のおばちゃんからは「ちょっと、べっぴんさんすぎてな…」との“逆風”の声もある。連日、亀石氏の応援に入る辻元清美衆院議員(59)は「維新は厚かましく2人も出ている。自民、公明も強い。亀石は最後の1議席を争っている」と声をからす。

大阪府、市のダブル首長選、衆院大阪12区補選、堺市長選と“4連勝”の維新は、2人を擁立し強気の姿勢で臨む。現職東徹氏(52)は「東京一極集中を打破できるのは大阪しかない。大阪の改革を国政でやらなければ」と強調し、新人の元リポーター梅村みずほ氏(40)は「子育て世代を応援したい」と庶民感覚をアピールする。前回参院選で地方議員を振り分けて男女2人を当選させた手法を踏襲する。維新幹部は「必ず2人当選させ、改革を求める民意を示す」と強気だ。 序盤戦は、維新現職の東氏が先行するが、与野党入り乱れての大混戦。自民党は当初、2人擁立論もあったが、ダブル選大敗を受けて断念。比例から鞍替えした太田房江氏(68)に絞った。大阪府知事を2期8年務めた太田氏は「力強い外交に、強い経済。安倍政権が進めるこの道を、さらに続けるのが重要」と強調する。

公明党現職の杉久武氏(43)は、日米両国での公認会計士の資格を持つ、党内きっての「財政のプロ」として知られる。共産党現職の辰巳孝太郎氏(42)は「安倍政権を倒す」と議席死守を目指す。国民民主党は、スリランカ出身の羽衣国際大教授でタレント、にしゃんた氏(50)を擁立し、猛追する。与野党入り乱れた過去に例のない激戦が繰り広げられている。【松浦隆司】