参院選も終盤戦。山本太郎氏(44)が率いる「れいわ新選組」がどこまで勢力を伸ばすのか、各党は戦々恐々だ。街頭演説は満員の聴衆だが、支持の実態が見えづらい「ステルス票」だからだ。一方、山本氏は15日、結党時からの寄付が3カ月で3億円を突破したことを明かし、さらに1億円の増額を目指すと表明。刺激的な言葉を交え、政治の現状打破を訴える山本氏への共感は、どんな形で票に表れるのか。れいわ「ステルス票」の行方は、永田町の常識も変える可能性がある。

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参院選も残り1週間を切り、与野党は終盤の戦略を練る。そこで、れいわ新選組の議席獲得への関心が出ている。東京選挙区と、比例代表に山本氏ら9人の計10人を擁立。公示前は懐疑的な見方が多かったものの、政界関係者によると、最近の情勢調査では、議席獲得の可能性を指摘するものが出ているという。

れいわの街頭演説には連日、多くの聴衆が詰めかける。動員はなく、口コミやネットの情報が中心だ。ラストホリデーの15日、東京・JR中野駅前の街頭演説も同様。駅前のロータリーや、歩行者デッキにつながる階段も、人で埋まった。

山本氏は「現場が盛り上がっても、必ずしも票に結びつくことにならないと、経験で分かっている。メッセージを受け取った方がどう動いてくださるかです」と、冷静だ。一方、05年郵政選挙では、小泉純一郎首相の遊説に集まる聴衆が目に見える形で増え続け、自民党は圧勝した。れいわが有権者の関心を集めているのは間違いなく、ある政党の関係者は「票の出方は読めない。まさにステルス票だ」と、警戒を強める。

れいわは、活動費を寄付でまかなう。演説会場には寄付を募るブースがあり、この日も列ができた。陣営によると寄付する人の数は増えており、性別や年代も幅広いという。山本氏はこの日、結党した4月10日からの寄付が「3億円を超えた」と明かした。「1週間、夕食のおかずを1品抜いて1000円寄付した」人もいたという。今後、さらに1億円の上積みを目指す。「これまでは草の根やインターネットの枠から出られなかった。より多くの人の目に触れたい」と、新聞広告の掲載など新たな広報戦略も視野に入れる。

法人税への累進制導入など財源を示し、消費税廃止を前面に押し出す。山本氏は「(安倍政権が10月からの消費税率)増税を宣言して選挙をするのは、野党に勝てると思っているからだ。こんな悔しいことはない」と憤り、「この国のオーナーは国民の皆さんだ。力を合わせ、政治を大きく変えよう」と結集を促した。

「少数派でも、けんかの仕方はある。永田町の論理に一切従わないややこしい人を、1人でも国会に送りたい」。山本氏の訴えは、永田町の景色を変えられるのか。【中山知子】