第161回芥川賞、直木賞の選考会が17日、都内で開かれ、芥川賞は社会学者の古市憲寿氏（34）の「百の夜は跳ねて」（新潮6月号）の受賞はならなかった。芥川賞は今村夏子氏（39）の「むらさきのスカートの女」（小説トリッパー春号）が受賞した。直木賞は大島真寿美氏（56）の「渦　妹背山婦女庭訓（いもせやまおんなていきん）　魂結（たまむす）び」が受賞した。

古市氏は初の小説「平成くん、さようなら」が前回芥川賞にノミネートされており、2回連続選出されていた。「百の夜－」はビルの窓ふきをする若い男が、窓越しに出会った老婦人との交流を通して成長していく姿を描いた青春小説。

古市氏はコメンテーターとして情報番組などでも活躍。過激な発言でネット炎上することもあるほど、歯に衣（きぬ）着せぬ発言が持ち味で、若年層を中心に支持されている。

直木賞には女性作家の6作品がノミネート。直木賞の候補が全員女性なのは初めてだった。候補作は次の通り（敬称略）

【芥川賞】今村夏子「むらさきのスカートの女」（小説トリッパー春号）▽高山羽根子「カム・ギャザー・ラウンド・ピープル」（すばる5月号）▽古市憲寿「百の夜は跳ねて」（新潮6月号）▽古川真人「ラッコの家」（文学界1月号）▽李琴峰「五つ数えれば三日月が」（文学界6月号）

【直木賞】朝倉かすみ「平場の月」（光文社）▽大島真寿美「渦　妹背山婦女庭訓（いもせやまおんなていきん）　魂結（たまむす）び」（文芸春秋）▽窪美澄「トリニティ」（新潮社）▽沢田瞳子「落花」（中央公論新社）▽原田マハ「美しき愚かものたちのタブロー」（文芸春秋）▽柚木麻子「マジカルグランマ」（朝日新聞出版）