各陣営が激しい舌戦を展開してきた参院選も終盤戦。それぞれの訴えの中で有権者は何を思い、何を重視して選択するのか。「私の視点」と題し、各界の著名人に聞いていく。

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政治おたく、選挙おたくですので、今回も主要政党から、幸福実現党、労働者党、安楽死制度を考える会などの諸派に至るまで、あらゆる演説を見まくっています。労働者党なんて、平均年齢70歳くらいだから、演説するかどうかは体調次第(笑い)。予定通りにやっていたりすると妙な感動があります。

欧米は、候補者が開く集会を有権者が聞きに行く形。候補者や、安倍さんみたいな党の要人が近所の駅まで演説しに来てくれるのなんて日本だけですよ。無料ライブなんだから、積極的に見に行って、議論と判断の参考にするべき。「保育園落ちた」とか「学費が高い」とか、自分の体験に沿ったテーマをひとつ絞って各党を見るのがコツです。私の今回の注目ポイントは「減税」。減税してほしいんですよ。主要政党はどこも減税を掲げていないので、党の方針とは全然違うこと言っている党内インディーズ候補の演説まで聞きに行っています。

世界の流れを見れば、不満をため込んでいる層のハートをごっそりつかんで選挙に行かせた陣営の勝ちですが、つかめている党はまだないですね。トランプ大統領と金正恩委員長がツイッターで「会いたい」とか、大胆なおっさんずラブで政治を動かしている時代に、日本の政党はジョークひとつ言い合えない余裕のなさ。もっと有権者のハートをダイナミックにつかむラブがほしいところです。

選挙は、選ぶ側と選ばれる側の恋愛。そのことは有権者にも強く言いたい。好きな人の名前を紙に書くなんてときめき、今どきないですよ。紙に名前を書く投票システム自体、世界的に見ても日本ならではのもの。すごいことなんです。だったら書くしかない。恋愛体験しちゃいましょう。

◆大川豊(おおかわ・ゆたか)1962年2月14日、東京都生まれ。明大商学部卒。就職試験に153社不合格となり、在学中にパフォーマンス集団「大川興業」を設立。自分で自分に内定を出す。お笑い、演劇のほか、政治などあらゆる分野に精通。自民党総裁、日銀総裁と並ぶ“日本3大総裁”を自任する。