史上最年少プロ棋士、藤井聡太七段(17)は23日、大阪市の関西将棋会館で指された第32期竜王戦決勝トーナメント(T)準々決勝で豊島将之名人(29)に146手で敗れ、17歳初白星を挙げることができなかった。これで年内にタイトルを獲得する可能性がなくなった。

初タイトルへ、大きな壁が立ちはだかった。将棋界の頂点に立つ豊島との大熱戦。勝負は形勢、持ち時間ともがっぷり四つのままで終盤に突入した。最後まで粘りを見せたが、惜敗した。終局後、藤井は「駒がぶつかってからの読みの精度で差が出てしまった。そこが課題です」と悔しそうに振り返った。

19日に17歳になったばかり。タイトル戦出場の最年少記録を持つのが屋敷伸之九段(47)で、挑戦は17歳10カ月、獲得は18歳6カ月。竜王戦の敗退で、8大タイトル戦で年内に挑戦者となる可能性があるのは王将戦のみとなった。

初タイトルへ、トッププロたちの高い壁が立ちはだかる。それでも紙一重の戦いの中で、着実にステップアップしている。初タイトルへ「いまの自分の実力が足りないところが多い。力をつけて上を目指したい」。高校2年の夏休みの「課題」は決まった。【松浦隆司】