北方領土での戦争発言で日本維新の会から除名処分を受けた丸山穂高衆院議員(35)が29日、参院選の比例で1議席を獲得した「NHKから国民を守る党(N国)」への入党を正式表明した。参院選で得票率2%を上回り、政党要件を満たしたN国は衆参2議員となった。同党は今日30日に、閣僚経験者の渡辺喜美参院議員(67)への入党要請に関する記者会見を行う予定だ。

丸山氏とN国代表の立花孝志参院議員(51)は、衆院議員会館で午後1時から2度目の会談に臨んだ。約45分間の会談後、両氏はそろって記者会見。丸山氏は「立花代表と入党の合意に至った。立花代表とともにNHKに対する国民のみなさんの不満に対応していきたい」と入党要請を受諾したことを明らかにした。参院選前からラブコールを送り続けた立花氏は「(プロ野球の)ドラフト会議で希望選手を獲得した監督の気分」と笑みを浮かべた。

N国は、参院選でも従来の主張通りに受信料を支払った人だけがNHKを視聴できる「スクランブル放送」の実現を唯一の政策とし、全国で得票率2%を上回って政党要件を満たした。立花氏は6年の任期中、参院議員会館に事務所を置くが「受信料はもちろん払いません」と強気に言い放った。一方、衆院議員会館に事務所を置く丸山氏は「現在は自動引き落としですが、今後は直接集金に変えようかな」と苦笑した。

N国と共闘する丸山氏は、入党の条件に関して「NHKに対すること以外は一切の拘束はない。好きに活動していい、ということで合意した」と明かした上で「毒をもって毒を制する。2人の毒を混ぜて劇薬にしてNHKの病魔を治していく」と怪気炎をあげた。丸山氏は今年5月、北方領土を戦争で取り返すことの是非を酒に酔った状態で元島民に質問し、日本維新の会を除名になっている。

党所属の国会議員5人を目指す立花氏は、30日に記者会見を開き、元内閣府特命担当大臣などを務めた渡辺喜美氏への入党要請、会派入りに関する発表を行う。すでに日本維新の会の足立康史氏、立憲民主党を離党した青山雅幸氏ら現役の衆院議員に入党を打診するなど「現在12人の議員と交渉中」(立花氏)。会見では、党の主張を伝えるため、菅義偉官房長官に面会を申し込んだことも明らかにした。反NHKを掲げる異色政党が、急速な勢力拡大の動きを続けている。【大上悟】

◆NHKから国民を守る党 元NHK職員の立花孝志氏が2013年に政治団体として設立。立花氏は15年4月に千葉・船橋市議選で初当選、16年東京都知事選に立候補(落選)、17年11月に東京・葛飾区議選で当選した。NHKの不正撤廃、放送法の改正(スクランブル放送実施)、直接民主主義を掲げる。衆参2議席、所属の地方議員27人。本部は東京都葛飾区東新小岩。