6日に平和記念式典に参列するために訪れた広島市で、暴行の疑いで逮捕、送検後に釈放された、埼玉県幸手市の渡辺邦夫市長(62)が20日、退職申し出書(21日付)を提出し、市議会で可決されたことを受けて会見を開いた。同市長は辞職の理由として、一連の事件を挙げた上で「9日の記者会見でもお話ししたとおり、今回の事件につきましては、事実無根であり、今後も争っていく所存ではあります」と主張した。

一方で「この間の報道などを含め、現在、市役所の業務が、数多くの電話などにより支障をきたしている状況にあり、それは市民の皆様に迷惑が及ぶことでありますので、一刻も早くそれを解消すべきであると思い、私は8月21日付で市長の職を辞することにしました」と、事件後の報道などで市の業務が滞っていることで辞職を決めたと説明。「私の幸手市を愛する気持ちは何ら変わることはありません」と述べた。

渡辺市長は6日の平和記念式典に参列するため、5日から7日までの予定で幸手市内の中学生らと広島市を訪問し、同日午前2時半ごろ、広島市内でバーの女性店員(20)を拳で数回、殴るなどした暴行の疑いで、広島中央署に現行犯逮捕。送検後、釈放された。そのことについて「私の軽率な行動により、広島平式典に参加された中学生の皆様、市民の皆様、そして、関係者の皆様に多大なるご迷惑をおかけしましたことに、心よりおわび申し上げます。さらには、広島市民の皆様にもご心痛をおかけしましたことにおわび申し上げます」と一連の騒動について謝罪した。

渡辺市長は11年に初当選し2期目を務めていたが、任期の11月8日が3カ月後に迫っていた。任期を振り返り「平成23年10月、私にとって最初の市長選挙で市民の皆様の負託をお受けしてから、これまでの7年と9カ月余りの間、私の市政運営について、議論を交わした議員の皆様、支えていただいた市職員の皆様、ご協力をいただきました関係者の皆様、ここにおられる報道関係者の皆様、そしてなによりも幸手市民の皆様に対しまして、深く感謝申し上げたいと存じます。そして、任期途中で退任いたしますことについて、深くおわび申し上げる次第でございます」と語った。

渡辺市長は「この記者会見が私の幸手市長としての最後の記者会見となります」とした上で「これまでの私に対するご支援、ご協力に対しまして、改めて深く感謝申し上げます」と市民に感謝した。