学校法人京都造形芸術大学(京都市左京区)が来春に「京都芸術大学」と校名変更すると発表したことについて、法的措置も辞さない構えで反対している京都市立芸術大学(西京区)が、「京都芸術大学」という名称を商標登録出願していたことが29日、分かった。

7月11日付で普段から呼ばれている「京都芸大」「京芸」など4点、7月18日付で「京都芸術大学」を出願し、いずれも8月20日までに情報公開されている。なお、造形芸術大は7月17日に「京都芸術大学」を出願し、7月30日に情報公開されている。現在は双方審査待ちとなっている。

市立芸術大が校名変更を知ったのは、造形芸術大が京都市に報告した7月9日。7月12日には、造形芸術大の尾池和夫学長が来校したが、その時から数回にわたって再考を求めてきた。商標登録出願は造形芸術大から報告があった直後のタイミングで行われており、市立芸術大の担当者は、名称を守るためと認めている。新しく予定する大学名が相手からも商標登録出願されていたことに、造形芸術大がどう対応するのか注目される。

なお、文科省大学設置室によると、校名変更は文科省が「認可」するものではなく、「大学設置基準」にのっとった校名であれば届け出ることができ、原則受理される。造形芸術大の届け出を8月27日に受理した大学設置室は、当事者同士の協議を見守る姿勢だ。

◆京都“芸大騒動” 学校法人瓜生山学園・京都造形芸術大学が27日、開学30周年事業の一環で来年4月1日に校名を「京都芸術大」に変更すると発表。HPでは「略称として『瓜芸(うりげい)』『KUA(ケーユーエー)』を使用し『京芸』『京都芸大』は使用いたしません」とした。京都市立芸術大学は28日、赤松玉女理事長名で、大きな混乱を招くとして中止を求める声明文をHPに掲載。「当事者間で解決し難いと判断した場合は、法的措置も」とした。京都市の門川大作市長も「驚愕しています」と再考を求めた。

◆京都市立芸術大学 1880年(明13)開設の日本初の公立絵画専門学校を母体とし、日本最長の歴史を持つ芸術大学。美術学部と音楽学部。日本画の上村松園、前衛芸術の草間彌生ら文化勲章受章者や人間国宝を多数輩出

◆大学設置基準 第40条の4は、「大学、学部及び学科の名称は、大学等として適当であるとともに、当該大学等の教育研究上の目的にふさわしいものとする」としている。