台風19号が東京都内に上陸した12日、台東区が自主避難所に避難しようとした路上生活者(ホームレス)2人の利用を、区民ではないことを理由に拒否した問題が、15日の参院予算委員会で議論になった。

安倍晋三首相は、台東区の対応への見解を問われ「各避難所では、避難した全ての被災者を適切に受け入れることが望ましい」と述べた。「受け入れ拒否はおかしい」と、国民民主党の森裕子氏に指摘されて、答えた。「関係自治体に確認して、適切な対応をしたい」とも語った。

森氏は、武田良太防災担当相にも見解を求めたが、武田氏は「事実関係を確認し、適切に対処したい」と述べるひと幕も。森氏は「担当大臣でしょ。(今からの事実確認は)まったくなっていない」と、声を荒らげた。武田氏は「人命を守るためには、全力を尽くさないといけない」と述べた。

森氏は、イタリアで災害が起きた際、避難所でキッチンカーが温かい料理を提供したり、避難者にベッドや屋外避難者にテントを用意するなどきめ細かい対応を行うため、災害関連死が少ないと指摘。災害大国になってきた日本でも、イタリアの例にならい、災害時の避難所での受け入れ態勢を抜本的に見直す必要性があると指摘した。「予算の問題なのだから、トップが決めないと前に進まない」と、首相にただした。

台東区は12日、台風19号直撃の際に、区立小学校に避難しようとした路上生活者(ホームレス)2人に、職員が住所や名前を書くよう求めた。2人は「住所がない」と答え、区側は区民を対象とした避難所であるとして、利用を断ったことが分かっている。