台風19号の暴風雨により堤防が決壊、氾濫した茨城県の那珂川で、危険度が最も高い警戒レベル5相当の氾濫発生情報が出ていなかったことが17日、関係者への取材で分かった。

川を管理する国土交通省常陸河川国道事務所が、職員の巡回で氾濫を確認できていないとしたため情報が出せなかったという。台風19号で氾濫したうち、国が管理する7つの1級河川で氾濫発生情報が出なかったのは、那珂川だけ。

洪水により大きな損害が生じる可能性がある河川は、国交省または都道府県が氾濫したかなどの川の情報、気象庁が降雨予報を出し合い、共同で洪水予報を出している。特に氾濫発生情報は重大性が高く、川が氾濫した事実を確認しないと出せないという。水戸地方気象台の関係者は「13日午後に常陸河川国道事務所とやりとりしたが、同事務所の職員が巡回で氾濫を確認できていないという状況で、こちらからは氾濫情報は出せなかった」と答えた。

那珂市では、13日午前5時33分にツイッターで那珂川が避難指示発令基準水位に達したことなど、情報を随時、発信し避難指示も発令していたが、氾濫発生情報を出さなかったことが避難の遅れにつながった可能性は否定できない。【村上幸将】