2020年度(21年1月)開始の大学入学共通テストをめぐり、全国高等学校長協会(萩原聡会長)が21日、「英語4技能の民間資格試験は混乱なく実施できるか」と題した緊急シンポジウムを東京・丸の内で開いた。協会は民間試験導入について「公正性、公平性が担保されていない」などとし、9月に延期・見直しの要望書を文科相に提出していたが、その後も「現場の混乱がますます激しくなっている」ため、文科省大学入試室、大学入試センター新テスト実施企画部、民間6団体の担当者を招き、直接説明を聞く機会をつくった。

しかし、受験生が多いとみられる試験の1つ「GTEC(ジーテック)」を実施するベネッセコーポレーションが、現時点以上の情報を発表できない、次の発表に向けて準備中などの理由で欠席。出席を再三要望してきた協会は「説明責任を果たして欲しかったので、残念」とコメントした。

質疑は3時間以上に及んだ。校長側からは「公正、公平に実施できるのか」「希望する全員が受けられるか」「会場は確保できるのか」「試験会場に高校は使わないと説明していたが、使うのか」「現在の高校3年生への配慮は」「地域によって受験機会に差が出ないか」「対策本を販売する実施団体もある。利益相反はないのか」などの質問が続き、各担当者が答えたが、協会側は「大きな変更は2年前に通知するルールがある。対応が遅い」「先が見えない状況は変わらない」などと納得していなかった。

会場には、全国から公立私立の校長約80人も駆けつけた。会場の関係で制限したが、希望者はもっと多かったといい、現在の教育現場の混乱の深刻さを物語った。

一方、文科省はこの日、民間試験を少なくとも1学部・学科で利用予定の4年制大学は、約7割の539校と発表した。近く大学ごとの詳細をサイトに掲載する予定という。【久保勇人】