今年7月の参院選に、立憲民主党から比例代表で立候補し、落選した元モーニング娘。市井紗耶香氏(35)がインタビューに応じた。

初の選挙では期間に有権者の声や顔を直接見て「求められているってこういうことなのかな。できることは精いっぱいやろう」と考えたという。選挙から約3カ月がたった今、市井氏の思いとこれからの活動について聞いた。

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選挙中は4人の子育てをする立場から、子育て世帯と不妊治療に取り組む女性への支援を訴えた。当選確実との声も高く、メディアから密着取材も受けたが、惜しくも次点だった。

「出馬のきっかけは今年初めに党の方から『日本のお父さんお母さんが子育てをしやすく、助け合える世の中になってほしい』という思いを聞いたことです」

-結果は落選

「その中でも足を運んで、5万票(50415票)を頂けたことは無駄にしたくない。(今は)直接政治に関わるかどうかは別として、1人の母として当事者目線を大事にしていろんな所に足を運びたいです。俯瞰(ふかん)して見られるようになった今、ものすごい舞台に立ち、挑戦させていただいたんだなと思います」

-元アイドル。話題集めとの反応もあったのでは

「勉強していない、何もわかっていない、などバッシングを受けると思っていました。でも、子どものために戦っていくという思いの方が強かったです」

-児童虐待が多発している

「現代社会の背景を映し出していると感じます。私もそうですが、気持ちに余裕がないことがあります。自分勝手な親が多く、自分ファースト」

-どうすれば防ぐことができるか

「地域が連動して、子どもと親を孤立させないことがものすごく重要だと思います。みんなの意見を受け入れ、より良いものにしようとする向上心とアイデア性も大切。どんな社会であれ、同じ人間。常に意見が言い合える関係でアイデアを出し、話し合う。それが欠けて、少し寂しい感じがします」

-先日、立憲民主党の「『子ども子育て』担当・コーディネーター」に就任したが、今後の活動は

「今後については『私は政治家』『私はタレント』と立ち位置を固定してしまうより、1人の子育て当事者の母親という、今のままの自分の視線を大切にしたい。立憲民主党とは連絡は取り続けていきます」

-国会議員になる準備は

「繰り上げ当選の可能性がないとは言えませんが、次点の政治家予備軍という枠に縛られれば、いろいろな勉強の場に制限がかかってもったいない。立候補して、大勢のみなさんに支持していただいたことは大切にしていきます」

-選挙で学んだことをどう生かすのか

「1つの作品などもそうですが、大勢の方が自分自身のことを思って行動してくれている事におもしろみ、やりがいを感じました。これからも、人の出会いを大切にし、いただけたお仕事にご縁を感じて続けていきたいです」

【聞き手=佐藤勝亮】

◆市井紗耶香(いちい・さやか) 1983年12月31日生まれ、千葉県船橋市出身。98年にモーニング娘。第2期メンバーとして加入。「第40回日本レコード大賞」最優秀新人賞受賞。00年に卒業し、2度の結婚、4度の出産を経験。今年7月の参院選で、立憲民主党の比例区から立候補し、5万415票を獲得したが、比例候補中9番目の次点となり落選。血液型A。