2020年度からの大学入学共通テストの英語民間検定試験をめぐり、ベネッセコーポレーションは10月31日、同社が実施する試験「GTEC(ジーテック)」の現時点での状況を発表した。

会場は、47都道府県に少なくとも2地域以上、計161地域に設置する。最多が東京の23地域、次が北海道の10地域。受検回数は、多くの機会を担保するために1人2回までとし、第1回(6月14日)と第2回(7月19日)のいずれかで1回、第3回(10月4日)、第4回(11月1日)のいずれかから1回とした。

しかし具体的に各地域のどこに、どれだけの受け入れ数を確保するかなどは発表されなかった。実施回数も地域によって異なり、少なくなる会場もある。会場名は試験日の2週間前までに知らせるといい、希望が満席の場合は受検日や地域を変更する必要もあるという。受験生や教育現場は依然、概要を把握したり、受検準備や計画を立てられない状況だ。

スタートが来年4月に迫った民間検定試験は6団体7種類。GTECが最も受験生が多いとみられるが、これまで会場については「47都道府県」だけなど、情報が少なかった。全国高等学校長協会の会合にも唯一欠席するなど公の説明もなく、教育現場の混乱の一因となっている。

ベネッセは新情報を秋以降に発信するとし、身の丈発言の萩生田光一文科相も前日に「11月1日の民間団体の状況をみたい」と繰り返していた。また11月1日は、受験生が民間検定試験を活用するための識別番号「共通ID」の申込が始まるが、フタを開けてみると詳細情報には遠かった。

制度の根本的見直しを主張している京都工芸繊維大の羽藤由美教授は「重要なのは、受験生が希望する日に希望する場所で受検できること。いつ、どこで、何人が受けられるかという情報が必要だが、今回の発表でもなお、全員が受けられるかさえ分からない」と指摘した。ベネッセは11月5日、衆院文部科学委員会の参考人質疑にも招致されており、発言が注目される。