作家の乙武洋匡氏(43)が6日、都内で新刊「四肢奮迅」創刊記念の義足歩行公開練習を行った。

乙武氏が1年半ほど行う「義足プロジェクト」。初めて歩いた時は「おなかの奥の方が、燃えるように熱かった」と表現した。使用されている義足には従来のものとは違い、モーターが組み込まれており、さらに動きによる負担を減らす。義足を使用した感想を「人間の膝って、本当に良くできているんだなと感じました」。

歩行するにあたり「膝がないこと」「手がないこと」「先天性なものなので、歩いていた経験がないこと」の「三重苦の身体」を抱えているとした。

乙武氏は「いつも座った状態でいるので、筋肉がLの字型に凝り固まっている」。Iの字型が必要な義足歩行においては、0からのスタートではなく、マイナスからのスタートだった。初めて歩いたときの映像を母に送ると、数カ月後に「実はあのとき泣いたのよ」と言われた。歩くことは「本当に苦しくて、苦しくて、楽しい」。

プロジェクトに参加した理由は「もう一度歩きたいと思っている人に、こんな新しい技術が出てきましたよと届けたいから」。次のステップについては「講演会などの入退場を義足でできれば、新しい時代が来るのかな」と語った。

義足歩行公開練習では、片方が4・5キロある義足を付け、10メートルを一歩ずつ、時間をかけながら2往復歩いた。