2020年度開始の大学入学共通テストをめぐる問題は6日も、衆院予算委員会の集中審議など、国会内外でめまぐるしい動きが続いた。

予算委では、国語と数学の一部に導入される記述式問題が争点に浮上。与野党から中止や改善を求める声が続いた。立憲民主党の川内博史氏は、プレテストで実際の成績と自己採点が一致しなかった受験生が最大3割に上ったこと、採点の修正件数が少なくないこと、採点を担当するベネッセグループが1万人もの採点者にアルバイトが含まれることを認めたことなどを指摘。「致命的欠点がある。人生をかける受験生は採点の質の担保に大きな不安を持っている。(民間見送りの)英語同様、英知を結集して検討してはどうか」と白紙を求めた。

萩生田文科相は、採点者にアルバイトが含まれることを認めた上で、英語と国語・数学の問題は異なるとの認識を示し、予定通り実施する考えを繰り返した。今後は、課題を解決していき、受験生に採点方法などの情報を提供したり「採点しやすい問題にするなど改善していく」などの対応を取っていくと答弁した。しかし、例えば、採点しやすい問題にすることは設問にさまざまな条件、制限をつけることになり、思考力や表現力を測るために導入する目的が形骸化していくなど、説明に根本的矛盾もあった。

見送りになった英語の民間検定試験については、文科省が16年8月の「高大接続改革の進捗状況」で英語の民間活用の必要を打ち出すまでの検討準備グループに、英語の専門家がいなかったことも明らかになった。文科省が答弁した。萩生田氏は、これまで非公開だった各会議の内容を公表する方向で調整し、経緯を検証すると説明。今後1年をめどに話し合うとする検討会議のメンバーについては「民間のヒアリングはするが、方向を決める中に特定業者が入るのは好ましくない」と発言した。

一方、「大学入学共通テストから学生を守る会」を主催する都内の高校2年生4人がこの日、文科省を訪れ、来年度からの共通テストの中止を求める署名約4万2000人分を渡した。生徒たちは10月25日からネットで署名を募っていた。文科省は、大学入試の大きな変更は2年前までに決定公表するという「2年前ルール」をつくっているが、約1年前になってもなお大きく揺れ動く情勢に、当事者たちが共通テストの中止を求めた形だ。