大学入学共通テスト(2020年度開始)をめぐり、英語の民間検定試験導入を推進してきた上智大の吉田研作特任教授が7日、東京・日本記者クラブで会見した。見送りになったことについて「かなりがっかりしている。間違ってはいなかった。全都道府県に会場がある試験もあり、実施は可能だったと思っている」と話した。

文科省の「英語教育の在り方に関する有識者会議」座長や、「英語の資格・検定試験とCEFR(セファール)との対応関係に関する作業部会」など、長く制度設計にかかわってきた。経済格差や地域格差などの批判については「最初から問題としてあり、議論してきたが、文科省と業者の問題。どう使うかなかなか決めなかった大学の責任もある」などと説明した。

目的が異なる複数の民間試験の成績を1つの基準=CEFRで比較する制度については、多くの研究者らから科学的根拠などについて疑問や批判が少なくない。各民間団体のCEFR対応の審査について聞かれると「文科省は参入業者は基本受け入れるつもり。各団体が測定したものを報告してくれば、それを受け入れた」とした。

認定された試験の1つ「TEAP(ティープ)」の開発にも関わっており、利益相反についても問われたが「自分は業者の代表とは思っていない。文科省から頼まれたからやってきた。何か決めたのではなく提案する会議だった」という。

吉田氏は「国がやれれば一番いいが、できないので実績のあるものを使おうということ。すべての生徒に平等とは言い切れないが、一歩前に進むべきだ」とあくまで推進を主張していた。