14日発売の「週刊文春」で「森田健作知事に新疑惑『私的視察』のウソと政治資金ネコババ」と報じられた森田健作千葉県知事(69)が14日、定例会見で「私は至らない男でございます。いろいろなご意見を真摯(しんし)に受け止め、謙虚に反省し、それを教訓として頑張っていきますので、何とか皆さん、ご協力下さい」と報道陣に助けを求めた。2週連続の文春砲の直撃。続く疑惑の釈明に追われた。

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週刊文春で新たに報じられたのは<1>千葉県芝山町の家は「自宅」とする森田知事の説明とは異なる不動産登記<2>過去4回の県知事選で5000万円以上の剰余金が発生した可能性がありながら、関連団体の収支報告書に記載がなく使途不明になっている疑惑<3>600万円以上の政治資金を使って約5600冊購入した自著「ゼロの勇気」の印税の行方、などだ。

約45分の会見で、質問の大半は疑惑について集中した。危機対応の最高責任者でありながら、県庁を離れ芝山町に向かったことについて改めて問われると「いろいろな意見を賜りました。私は至らない男でございます。真摯(しんし)に受け止める事が大事、それを教訓として次に備えることが大事。そのように思っております」と反省した。

しかし、新たな疑惑については、動揺してコップを持つ手が揺れた7日の定例会見と違い、知事なりの反論を用意していた。千葉市の知事公舎を「住所」として届け出ていることについては「法律的に住所というのは今の生活基盤があるところです。では自宅とは何なのか。自宅って法的に定義がないんです。私は芝山にしか家がないんです。知事が終わってどこへ行くんですか。行くのは芝山です。だから『自宅』っていうんです」と釈明した。

約5000万円の使途不明疑惑については「法律の専門家」の見解として「公選法では選挙運動費用の残余財産の使途については特に規制を設けていません」と文書を読み、「法令に従ってやっている」「私の政治活動に使っている」と説明。また、自著の爆買いと報じられた件の印税については「40万円ぐらい」で税務処理しているとし「記者さんならご存じでしょう」と同意を求めた。

質問が疑惑に集中することに「何々、もう1度ちゃんと言ってくれよ!」といら立つ場面もあった。コップを持つ手が震えるシーンが繰り返し放送されたためか、この日は会見中、コップを手にしなかった。会見の締めは「私は多々至らない点はあります。謙虚に反省し、教訓として千葉県、頑張っていきますので、なんとか皆さんご協力下さい」。再び「至らない」を口にした。【中嶋文明】

◆先週の文春砲と定例会見での釈明 7日発売の「週刊文春」は、台風15号が千葉県を直撃した翌日の9月10日、森田知事が被害対策に当たらず、公用車で同県芝山町にある別荘を見に行ったとの疑惑を報じた。県の秘書課は「知事は自分が用意した車で富里市方面を私的に視察していた」と説明したが、週刊文春の取材では富里市長も市議も視察を把握していなかった。森田知事は同日の定例会見で「別荘ではなく、自宅なのでございます」とした上で「被害状況を私的に視察しようと思い、公用車で自宅まで行き、自分の車にチェンジした。(車で)パーッとスルーしてみて、こうかなという感じも大事。これは政治のスタイルなんです」と釈明した。

◆森田健作(もりた・けんさく)本名鈴木栄治。1949年(昭24)12月16日、東京都生まれ。明学大中退。69年映画「夕月」の主役オーディションに合格し、芸能界デビュー。ドラマ「おれは男だ!」の剣道少年役で人気者に。92年参院選で立候補し初当選。衆院議員を経て、05年千葉県知事選に無所属出馬も落選。再挑戦の09年千葉県知事選で初当選。現在3期目。