令和元年、2019年の世相を1字で表す「今年の漢字」が新元号の「令和」に使われた「令」に決まり、日本漢字能力検定協会が12日、京都市東山区の清水寺で発表した。応募総数21万6325票の中で3万427票を集めた「令」は、決まりやおきてという意味のほか、素晴らしい、良い、立派という意味があるという。2位に「新」、3位には「和」が選ばれ「令和」がトップ3に入った。

   ◇   ◇   ◇

95年のスタートから25年、約1・5メートル、横約1・3メートルの和紙に特大の筆で今年の漢字を揮毫(きごう)し続けてきた、清水寺の森清範貫主(かんす)は今年の漢字となった「令」について、「我々、日本人が『令』を心から思っていると思われてならない。お互いが敬い、尊び、尊敬し合うことが込められた言葉だと思います」と語った。

日本漢字能力検定協会代表理事でもある高坂節三会長兼理事長は「我々が心配しているのは、暗い漢字が選ばれるのではないか? 操作しているのではないか? と言われること。(応募の)数通り、選んで揮毫していただいた。今年は非常にいい字を選んでいただけたことをうれしく思います」と笑みを浮かべた。

2位は「新」(1万4850票)3位は「和」(1万281票)4位は「変」(7749票)5位は「災」(7302票)が続いた。話題の多かった「桜」は1777票で18位だった。

◆1位「金」 「今年の漢字」は25回目で「令」は22字目。複数回選ばれているのは「金」(00年、12年、16年の3回)と「災」(04年、18年の2回)。「金」はいずれも夏季五輪開催年で、東京オリンピックが開かれる来年は最有力。

◆常用漢字 公文書、新聞などで使われる常用漢字から選ばれることが多く、「令」も小学4年生が習う常用漢字。常用漢字以外から選ばれたのは「虎」(03年)と「絆」(11年)だけ。「虎」はその後、常用漢字に追加されている。

◆無冠の帝王 「今年の漢字」に選ばれたことはないが、トップ3に入った回数が最も多いのは「乱」(6回)。「金」(5回)より多い。

◆令(れい) 漢字の成り立ちは、神職がひざまずいて神のお告げを聴く形。「号令」「命令」のように、いいつけの意味がある。また、神意に従うことから「善い」という意味にも使われ、素晴らしいなどの意味もある。「令嬢」「令息」のように他者の親族への敬称にも使われる。