東京地検特捜部は25日、日本での統合型リゾート施設(IR)事業参入を目指した中国企業から、現金300万円や約70万円相当の利益供与を受けたとして、収賄容疑で衆院議員秋元司容疑者(48)を逮捕した。特捜部による現職国会議員の逮捕は約10年ぶり。秋元容疑者は容疑を否認している。関連先として同党の白須賀貴樹衆院議員(44)らの事務所が家宅捜索を受け、中国企業と接点があるとされる複数の自民党議員のリストも浮上。安倍政権肝いりのIRを舞台にした「令和のリクルート事件」との声も、出始めた。

中国企業「500ドットコム」側からは、顧問だった紺野昌彦(48)、仲里勝憲(47)、日本法人役員だった鄭希(37)の各容疑者が贈賄容疑で逮捕された。

紺野容疑者は「不動産、金融、事業、3つの海外投資で資産を増やすブログ」を運営。さまざまな中国系マネーとのつながり、東南アジア、北海道、沖縄などを舞台に手広く事業を展開していると強調している。

17年8月には500ドット社が那覇市で開催したIRシンポジウムを仕切り、ここで参加した秋元容疑者と接点ができたもよう。今年11月の投稿では、中国の企業グループの日本視察にかかわり、自民党国会議員12人との交流を手伝ったと紹介。同グループの訪日リポートには、今回事務所が家宅捜索された白須賀貴樹衆院議員を含む、12人の顔写真が掲載されている。

ブログなどによると、紺野容疑者は高校時代に雑貨の個人輸入販売業を開始。ホテル関連企業勤務、興信所、飲食業などさまざまな事業を展開した後、沖縄でカジノ推進派の有力者と知り合い、IRに接近、政界にも人脈を広げた。

ブログでは、父親が国会議員との記述もみられた。この議員は、日刊スポーツの取材に「約48年前、ある女性との間にできた子どもです。厳格な親の反対で結婚できませんでした。認知し、養育費も払いました。会ったのは、お母さんからの連絡で会った十数年くらい前と、その1~2年後だけ。お金の相談をされ、がっかりでした。それ以外は会ってないし、何も知りません」と説明、事件との関係を完全に否定した。

贈賄側の鄭希容疑者は、今年9月まで500ドット社の役員で、現在は若者に人気のライブ配信アプリ「17(イチナナ)ライブ」の運営会社の最高執行責任者(COO)。東大大学院を卒業し、大手商社などにも勤務した。仲里容疑者は沖縄県浦添市議を務めたこともあり、秋元-紺野のつなぎ役ともみられる。