ネット上で「アゲアゲさん」と呼ばれ、「将棋ユーチューバー」として活躍する将棋のアマチュア強豪、折田翔吾アマ(30)がプロ入りを目指す、棋士編入試験5番勝負第3局が27日、東京・千駄ケ谷「将棋会館」で行われ、山本博志四段(23)を170手もの長手数の末、下した。これで2勝1敗とし、プロ合格まであと1勝とした。「長い戦いで決め手がつかめず、1手でも間違えたらおかしくなると思った。間違えずにゴールできて良かった」とホッとした様子だった。

山本とは2016年(平28)3月の奨励会三段リーグ最後の対局で相まみえ、勝利している。折田は当時、すでにリーグ負け越しと、「26歳までに四段になれない場合、退会」という年齢制限のため、プロへの道は断たれていた。それでも負けられない強い思いがあった。「今後の人生としても、ここでちょっといいかげんな将棋を指したら、今後もダメになっていく。悪い影響が出そうなので」と思ったからだ。

いったんプロを目指す道から決別するため、次の人生をかけた「大一番」に勝利した。4年後、不思議な巡り合わせで再戦した。今回は、プロへの道を大きく切り開く勝利となった。

第4局の本田奎五段(22)戦は2月25日、同所で行われる。棋王戦の挑戦者が「試験官」になる。三段リーグでは1勝1敗だった。「あと1勝。大きな勝負になるが、次も楽しんで臨みたい」。回り道の末に夢をかなえるため、相手にとって不足はない。