乗客が新型コロナウイルスに感染して日本の検疫下にあるクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」で9日、新たに6人の感染者が判明した。

香港人の男性乗客(80)の感染が1日、下船した香港で発覚。3日に体調不良を自己申告した273人の検体を調べ、判明した感染者は8日までに64人だったが、これで同船内の感染者は70人となった。

ダイヤモンド・プリンセスは、船内で飲む真水の精製、船体を安定させる重しの目的で船底に積むバラスト水の管理、船内で処理した汚水の排水など、運航に必要な作業を行うため、8日に接岸していた横浜・大黒ふ頭を離れて外海に出たが、9日朝に戻った。再接岸した後、乗客には船内アナウンスで、6人の感染者のほか、新型コロナウイルスとは関係ないものの体調が悪く治療が必要な9人の、合わせて15人が下船し、病院に搬送する手はずを進める旨、伝達された。

埼玉県から参加する60代の男性によると、前日8日に外海に出た際、厚労省のものとみられるヘリコプターが飛んできて、乗客の検体を持っていったもようだという。船内には体調不良を感じる人が100人程度いるとされ、船内の医療センターは乗客が多数、足を運び混雑しており、診療が必要な乗客を呼び出す形を取っていたという。男性は「その(検体を持っていった)中の6人の感染が分かったのだと思う」と語った。

またこの日、船内アナウンスでは「日本の検疫の規定により、野鳥を含む野生動物への餌づけは固く禁止されております」と、乗客に繰り返し、注意がなされた。船の上の階にはバルコニーがある部屋もあり、男性は「船にカモメが寄ってくる。グループごとに外出が許された際、散歩でデッキを歩いた際にも、エサをやる人がいたかも知れない」と話した。【村上幸将】