新型コロナウイルスの集団感染が発生しているクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」の乗客のうち、ウイルス検査で陰性だった約500人が19日午前から下船を開始した。1月20日に横浜港を出港し、香港、ベトナム、台湾などを回る中、1日に香港人の男性乗客(80)が下船した香港で感染が発覚。3日に再び横浜港に戻り、大黒ふ頭沖で検疫を開始。5日から全乗客に自室待機が命じられてから、約2週間の検疫期間を終えての下船となった。

船が接岸する横浜・大黒ふ頭の駐車場には、下船客を駅に送るバス20台以上が並んだ。そして、防護服を着たスタッフが、下船客を順次、バスへと誘導した。下船客の中には、客船ターミナルにタクシーを呼び、帰宅の途に就く人もいた。マスク姿の下船客は、多くが旅行用の大きなカートを手に、ゆっくりと歩いた。高齢者が多いこともあり、多くが疲労の濃さをにじませた。

厚労省は前日18日夜、高齢者を中心に約500人を、19日午前10時半から下船させることを決めた。各国政府派遣のチャーター機を待つ外国人乗客もおり、この日に下船する乗客の多くは日本人になる見通し。下船後は横浜駅など複数のターミナル駅へバスで移動するとし、感染者と同室だった濃厚接触者については、感染の可能性も考慮して個別に下船する見通しとなっていた。厚労省は21日までに全乗客を下船させる方向を示している。

一方で、17日の99人に続き、18日も88人と大量の感染者が判明。3日に横浜・大黒ふ頭沖で検疫を始めてから15日。乗客乗員3711人のうち、約15%に当たる542人から陽性反応が出た。

この日、船側から乗客に船内アナウンスで、24時間以内に韓国とオーストラリアが自国民を帰国させるためのチャーター機を手配する予定と通知がなされた。またカナダは21日にチャーター機を手配する報告であることも、併せて通知された。【村上幸将】