カラオケボックス「パセラ」を運営するニュートンは3日、新型コロナウイルスの感染拡大で政府が小中高校などに臨時休校を要請したことで、学校給食をとることができない子どもたちのために、テークアウト専門の「こども食堂」を臨時運営すると発表した。

5日から都内の2店舗、9日から東京、横浜、大阪の3店舗の計5店舗で31日まで、平日午前11時~午後2時で実施する。3歳の幼稚園児から小学6年生までを対象に、カレーとサラダがセットになった「テイクアウトカレーセット」を1人につき1食100円(税込み)で提供し、当日分のカレーがなくなり次第終了する。

学校の一斉休校を受けて給食が提供されなくなる一方で、コロナウイルスの感染が広がったことで、子ども食堂の休業も進んでいる。ニュートンの担当者は、日刊スポーツの取材に「政府の発表後、子ども食堂の休業が多くなっていると聞きました。社会貢献や働く従業員に向けて、何が出来るかを協議した結果、弊社として出来る範囲で、かつ最大限にお届けできる社会貢献として考えました」と説明した。

担当者によると、同社は16年から東京・豊島区のパセラ珈琲南池袋店で、毎週水曜に「こども食堂」を運営し、ノウハウがあった。またカラオケ店の業態上、テレワークは難しい一方で、店舗に来店した客には飲食を提供できる利点がある。担当者は「学校給食のような栄養をまかなうのが難しく、動揺している親御さんもいらっしゃるでしょうし、その動揺はお子さんにも伝わります。全店舗で出来ればいいですが、できる範囲内の社会貢献を意識しました」と説明。政府が発表した当日から話し合いを始め、1日に子ども食堂の臨時運営案が出たという。

カレーとサラダのセットにしたのは、子どもが大好きで。かつ栄養があるからだという。対象年齢以外も、中学生以上には500円(税込み)で提供する。子どもの親も購入が可能で、担当者は「兄弟や親子で来てお兄ちゃん、お母さんは500円で、という買い方も出来ます」と説明。当日分のカレーがなくなり次第終了する。パセラ珈琲南池袋店の「こども食堂」は、コロナウイルスの感染防止のため店内での飲食は中止しているが、臨時営業する5店舗同様、テークアウトのみ対応するという。

コロナウイルスの感染拡大に歯止めが利かず、全国で感染が広がる中、閉鎖された空間で行うカラオケを敬遠する人も一部で出ている。送別会シーズンは書き入れ時だが、団体客などのキャンセルの増加は業界でも問題視されている。パセラでは各会場、ルーム内のアルコール消毒液などでの除菌、空気清浄器の設置、全従業員のアルコール消毒液による手指の消毒、従業員への毎日の体温測定などの対策を徹底し、全店舗の営業を続けている。担当者は「弊社は最大限の対策をして運営しております」と強調した。

その上で「子ども食堂」について「どれだけお届けできるのかが課題。できる限り、ご利用いただけるように情報を発信し、利用される方へのサポート体制もしっかりしたい」と語った。【村上幸将】