安倍晋三首相が中国、韓国からの入国者に対し、検疫所長が指定する場所で2週間待機し、国内の公共交通機関を使用しないことを要請したことを受け、東京・新宿区にある日本語学校が困惑している。この学校は4月に300人の留学生を迎え入れる予定だが、今回の措置により、学校運営の方向性が不透明になった。学校担当者は「これから入学手続きがあるが、日本が危険だと思われて、入学キャンセルがでてくるのでは」と対応に追われた。

同校には約1500人の学生が在籍し、約60クラスあるという。中でも中国人留学生が60%を占め、ベトナム人留学生と合わせると85%を占める。4月には、約300人の入学者を予定している。今回の政府の要請を受けて、同校では新入生に対して例年なら入学式後に行うクラス分け編成のテストと面談を、入学前にSNSを活用して行うとした。

同校の在学期間は1年半~2年間。在校生もいるため、4月からの新学期のクラス編成に困惑している。担当者は「いつ入国できるかわからない。中国人学生だけのクラスになる可能性もあるのでは」と話した。

母国の親から「帰ってきなさい。自分の所にいてほしい」と電話があった生徒も多いという。すでに帰国してしまった学生も約20人いる。

現在はコロナウイルス感染拡大の状況から、同校の在学生全員がオンラインを通しての学習活動となっている。帰国した生徒からは「出席日数がどうなるのか」「新年度からの授業はどうなるのか」という問い合わせが殺到しているという。

担当者は「学生が不利になることが無いように、政府の方針に対して、その都度、最善の対策を取らなくてはいけません」と話した。【佐藤勝亮】