コンビニエンスストアの店舗を経営する加盟者らが加入するコンビニ加盟店ユニオンは10日、都内の衆院第2議員会館で会見を開いた。

新型コロナウイルスが感染拡大し、政府が小中高校に春休みの臨時休校を求めたこと、緊急事態宣言が出された北海道をはじめ、全国各地で外に出ることを控える方向になって従業員の欠勤が急増し、窮状に陥っているとして、緊急の時短営業を許可するよう訴えた。大手コンビニエンスストア本部には5日に要望書を発送済みで、会見後、各政党にも党として動くよう、要望書を出すとした。

現行、コンビニ大手各社による時短営業のガイドライン等は緊急事態に対処しておらず、災害マニュアルにも1カ月に及ぶような加盟店の判断での時短営業は想定されていないという。兵庫県姫路市でファミリーマートを経営する、酒井孝典執行委員長は「通常の災害の場合、ファミマは東日本大震災以降、スタッフにおいても身の危険を感じた場合は、閉店できるようにはなりましたが、それは一時的なもの」と説明。本部には対応を求めたが「長期にわたって、感染症による人員不足に関わるものは対象外と。個別に判断させていただく事案、という回答」と語った。

コンビニ加盟店ユニオンは要望書の中で、コンビニエンスストアの従業員には小学生の子供を持つ共働きや1人親世代の保護者が多く、子供を自宅に1人で置いておけないから欠勤する人が多いとした。加えて、夕方の時間帯に多い高校生のアルバイトも多く雇用しているが、保護者や学校からの要請で欠勤も多くなっているとした。

その上で、持続的営業を目的として加盟店支援が可能となるよう国の給付型支援協力を含めての働き掛けを求めた。コンビニは災害時の指定公共機関の役割を担っているが「このままだと、多くが零細商店であるコンビニ加盟店の経営が成り立たず、インフラとしての機能が不可になることが容易に想像されます」と警鐘を鳴らした。

酒井執行委員長は「我々はアリのような零細商店ですが、アリが厳しくなれば大地は成り立たない。売り上げ減、経営がどうしようもないという状況。国に考えて欲しいし、各コンビニの本部に働き掛けていただきたい」と切実な状況を訴えた。

さらに「コンビニは社会インフラ。人が集まるデパートより、コンビニで買っていただく方が安全だと思う」と、感染拡大の中、コンビニの安全性の高さを強調。一方で「(1日の来客)1000人に対応し、現金を手渡ししている状況でアルコール消毒液、マスクがコンビニですら不足している。それを販売に回すと、従業員の安全も非常に危惧される」とアルコール消毒液、マスクが不足していると訴えた。会見では北海道でセブン-イレブンを経営する人からの文書が配布された。その中で「従業員さんが手洗い時、使用するペーパータオルの納品数が、本来であれば上限がないところ、各店舗、週3回、3パックのみ」との厳しい現状も紹介した。【村上幸将】