将棋の最年少プロ、藤井聡太七段(17)が31日、大阪市の関西将棋会館で指された第91期棋聖戦決勝トーナメント(T)準々決勝で菅井竜也八段(27)を破り、ベスト4に進出した。

挑戦権獲得まであと2勝とした。藤井が屋敷伸之九段の持つ最年少タイトル挑戦記録(17歳10カ月)を更新するには今回の棋聖戦がラストチャンスとなる。

菅井は元王位、来期の順位戦では最高峰のリーグ、A級昇級が決まっている。過去の両者の対戦成績は2勝2敗の五分だった。午前10時から始まった対局は、午後6時24分に同一局面を4回繰り返す「千日手」が成立し、無勝負となった。30分の休憩を挟み、規定により持ち時間は藤井残り1時間、菅井は2時間29で、指し直し局がスタート。中盤まで一進一退の攻防が続いたが、終盤にリードを広げた藤井が持ち前の終盤力を発揮した。

終局後、藤井は「指し直し局は序盤で仕掛ける手を見つけることができず、少し不本意な展開が続いた。終盤でなんとか、食いつくことができた」と振り返った。

19年度最終戦は指し直しという波乱の展開だったが、ラスト対局を白星で飾り、19年度は53勝12敗(未放映のテレビ対局を含む)。勝率勝率8割1分5厘。すでに記録全4部門(対局数、勝率、勝利数、連勝)のうち、勝率、勝利数では全棋士のトップを確定させ、「2冠」に輝いている。さらに史上初の快挙となる3年連続年度勝率8割以上も決めていた。

19年度について「王将リーグ、王位リーグに入ることができ、トップ棋士の方と多く対戦できたのが収穫だった。対戦の中で学んだことを来年度につなげていければと思う」と話した。 

これで最年少タイトル挑戦までマジック2。棋聖戦は例年5月に挑戦者決定戦が行われ、6月初旬に五番勝負が開幕する。「次の対局も大事な一戦。普段通り、落ち着いて指したい」。

今春の高校3年になる藤井が、さらなる飛躍を目指す。【松浦隆司】