新型コロナウイルスの感染拡大を受け、国内企業では1日、新入社員の入社式中止が相次いだ。

例年通りのセレモニーの開催が難しくなる中、一工夫加えたユニークな代替策を打ち出す企業もみられた。リコーでは、感染拡大防止策を取り、172人の「個別入社式」を行った。

テレワークで取材に応じたリコーの広報担当者は「新入社員を10人1グループにし、出社時間をずらす工夫をしました」と説明。担当者によると、十分な間隔を空けた待機スペースから、社長の待っているホールに社員が1人ずつ入り、机の上にある社章をとり、2メートル以上離れた壇上の社長と約1分の独占トークをし、退出。次の社員がホールに入るという方法で、約3時間半続けた。初の特別方式だという。

リコーの山下良則社長は「1人1人とコミュニケーションをして歓迎の気持ちを直接伝えることで、社会人として、リコー社員としての第1歩を力強く踏み出してもらい、心に残る1日にしてもらおうと考えました」とコメントした。

伊藤忠商事では、入社式を中止にしたが、サプライズで用意した満開の桜とレッドカーペットで120人の新入社員を社長と会長が迎えた全員がマスク着用、アルコール消毒などを徹底し、人同士の接触は避け、距離も十分に空けたという。担当者によると新入社員からは「桜の準備をするなんて、アツい会社だと感じた」などの声があったという。

トヨタ自動車やソニー、日本航空などが入社式の中止を決めた。新年度がスタートしたが中には、まずは1カ月自宅待機の新入社員もいる。新型コロナウイルスの収束は見通せず、新入社員にとっても波乱の幕開けになりそうだ。【佐藤勝亮】