将棋の最年少プロ、藤井聡太七段(17)が3日、東京・千駄ケ谷「将棋会館」で行われた、第33期竜王戦ランキング戦3組準決勝で千田翔太七段(25)を下した。決勝進出と、来期の2組昇級を果たした。

新型コロナウイルスの感染拡大防止策として、取材は主催関係者、映像中継の担当に限られた。異例の体制にもかかわらず、積極的な指し回しを見せた。新人時代の17年に6組を制して以来、昨年まで3期連続優勝中の藤井は、竜王戦史上初の4期連続制覇を目指し、3組決勝で師匠の杉本昌隆八段(51)と対決する。

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藤井が、2020年度の初戦を白星で飾った。

千田には、今年2月の朝日杯準決勝で敗れている。同時にこの棋戦3連覇を阻まれている。頂上を目指すために負けられない一戦は、「激しい展開で、よく分からなかった」と振り返った。

新型コロナウイルスの感染拡大防止策として、取材は主催関係者、映像中継の担当に限られた。異例の態勢にもかかわらず、積極的な指し回しを見せた。

これで、竜王戦ランキング戦は、17年の6組1回戦の加藤一二三・九段(引退)戦から19戦全勝と、負けなしだ。

19年度は53勝12敗(未放映のテレビ対局を含む)。勝率8割1分5厘で、3年連続で年度勝率8割以上という、過去に例がない大記録を達成した。

もちろん、勝率は3年とも第1位。17年度の61勝に次いで最多勝も記録した。昨年は初のリーグ入りを果たした王将戦で、挑戦権獲得まであと1勝まで迫った。今年は初参加の王位リーグでも3連勝で、白組トップを走る。新人時代に29連勝と、将棋界の連勝記録を塗り替えた“東海の怪物”は、今やタイトルに最も近い男の1人と言っていい。

今年1月、都内のホテルで行われた竜王就位式及び各組優勝者表彰の場では、「今期も(3組で)優勝を狙いたい」と、ファンの前で宣言した。

6→4組まで3期連続優勝昇級は、24~26期に永瀬拓矢現叡王・王座が果たしている。4期連続優勝はまだいない。4期連続昇級も、行方だけ。行方は6組、5組、3組と制したが、4組は3位で昇級している。

史上初の4期連続Vがかかった決勝には、またとないお膳立てがなされている。もう一方から勝ち上がったのは、師匠だ。「大きな舞台で戦えることは非常に楽しみです」と、抱負を口にした。

18年度の第77期順位戦C級1組で、ともに8連勝中だった師弟は19年2月の9回戦で敗退。同3月の最終10回戦で、師匠だけがB級2組への昇級を決めた。「藤井はいずれ上がってくる。先にB級2組で待っている」との激励の言葉に応じた弟子は、19年度の順位戦10戦全勝で昇級を決めた。

棋戦こそ違うが、こちらでも先に待っていた師匠とそろって2組に昇級できる。豊島竜王への挑戦権獲得を目指すための本戦進出切符は、1枚だけ。18年3月の王将戦予選で勝った師匠に、再度勝つことが「恩返し」になる。【赤塚辰浩】