日本全国で深刻なマスク不足が続く中、シャープは21日、自社生産した不織布マスクを、同社のインターネット通販サイトで発売し始めた。

ニッポンのものづくりを代表する企業の「参戦」に関心は高く、販売開始時間前からサイトがつながりにくい状態に。混乱を受け、同社は公式サイトで次回販売分の延期を示唆した。一方、政府が1世帯に2枚送付する布製アベノマスクは都内在住者に届き始めているが、“リメーク”の動きが広がっている。

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シャープの通販サイト「シャープ ココロストア」は、販売開始の午前10時前からつながりにくく、アクセスできない状況が続いた。サイトには「ただ今、アクセスが集中しており、販売サイトにつながりにくい状態が続いております」と表示され、時間をおいて再度試すよう要請する文が表示された。

同社広報によると、この日夕方までにマスクの在庫はあったが、アクセスが集中し、購入までたどり着けないユーザーがあふれたとみられる。その余波か、インターネットをつないで同社製品をIoT(モノのインターネット)で操作するサービスも、アクセスに一部障害が発生。それぞれのサービスでネットワークを共有する部分もあるといい「マスク販売が何かしらの影響を与えている可能性はあります」という。

同社のマスクは、1箱50枚入りで3278円(税込、別途、送料660円)。1人1箱で、購入後、3日間は再購入が不可能。購入には同社運営のサービス「COCOLO MEMBERS」の会員登録が必要だ。当面は1日3000箱を販売し、今後は体制を強化し、1日1万箱の販売を目指す。

販売初日の大きな反響を受けて、同社は21日夜、公式ツイッターで「弊社のマスク関連ページがあまりに動かない問題、まことに申し訳ありません」と陳謝。「動かないまま本日分の販売は終了しております」と記し、理解を求めた。

同社は新型コロナウイルスの感染拡大に伴う国内のマスク不足を受け、3月からクリーンルームのある三重工場(三重・多気町)でマスク生産を始め、政府向けの出荷を始めていた。長くニッポンのものづくりをけん引してきた企業だけに、発売前から注目を集めていたが、逆に国内のマスク不足がいかに深刻かを裏付ける形にもなった。【大友陽平】

<マスク製造に携わる国内外のおもな企業>

【国内】

◆パナソニック 来月からの生産を目指す。まずは自社の従業員に配布し、医療機関向け生産も検討。

◆アイリスオーヤマ 国内でマスクを月約1億5000万枚生産計画と発表。

◆日産自動車 3Dプリンタを用いて防護用マスクを製造。

◆ANAホールディングス スタッフが医療用ガウンの縫製を支援。

【海外】

◆サルヴァトーレ・フェラガモ(イタリア) 地域医療機関に抗菌マスク10万枚製造。消毒ジェル5万本なども寄付。

◆プラダ(同) 防護服8万着とマスク11万枚生産。

◆バーバリー(英) トレンチコート製造工場で感染者のためのガウンとマスクを製造。

◆ラルフ・ローレン(米) 国内でマスク25万枚、2万5000着の防護服を製造。

◆シャネル(フランス) 防護用マスクと防護服を製造。