新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、鹿児島・種子島の地元サーフィン愛好家団体が島を守ろうと奮闘している。

種子島には波乗りポイントが多く存在し、美しい海と温暖な気候から、関西地方など遠方からも、多くのサーファーが訪れる。日本を代表する盛んなサーファー・スポットのひとつ。一方では、島の医療体制は決して良いとは言えない現実もある。感染症に対応した病室は計6床。集団感染が起きれば、たちまち医療体制が立ちゆかなくなる。

これらの不安から、地元愛好家は、緊急事態宣言の全国発令に先駆けて、インターネット上で、島外へ向けて移動自粛を要請していた。島で県外ナンバーの車を見かけた際には、車種などの情報を地元愛好家の間で共有するシステムも作った。波乗りのポイントを変え、島外サーファーとは、可能な限り「接触」を避けてもいる。

地元のサーフィン愛好家団体「種波」は、普段なら、来島したサーファーに楽しんでもらえるような情報の提供など、支援を行っている。が、やはり今は、ちょっと事情が違う。

同団体代表の高田健剛さんは「普段は(来島者に対しても)ウエルカムです。ただ、今回ばかりはそんな状況ではありません。医療体制は弱いし、高齢者も多いので、深刻な問題になり得る」と、現実を冷静に見ている。

最近では、県外ナンバーの車を見かけなくなったというが、これからゴールデンウイーク(GW)を迎える。ある宿泊施設は連休中満室だった予約を全て断ったという。だが高田さんは「(GWを)迎えてみないとわからない」と気を引き締めた。

地元サーフィン団体が出しているメッセージには「この事態が必ずや終息し、再び皆様をお迎えできる日が、遠からず訪れることを願っております」。目に見えないウイルスとの戦いが終わり、再び安全な日常が戻ることを願っている。【南谷竜則】