新型コロナウイルスの感染が広がる中、ANAグループのアバター(=分身)事業専門会社「アバターイン」が手掛ける遠隔操作ロボット「ニューミー」を使用した遠隔お見舞いの実証実験が7日、石川県加賀市医療センターで開始した。すでに別の病院では、医師が「ニューミー」を使った回診や問診の実証実験も行われており、医療現場や介護施設などでの活躍が期待されている。

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「アバターイン」が開発した遠隔操作ロボット「ニューミー」は充電式で3サイズあり、1番大きいLサイズでも高さ約1・5メートル、重さ約15キロとコンパクト。上部に操作側の顔が映るテレビ画面が付き、リアルタイムで会話できる。操作側はサイトに接続し、画面を見ながら、矢印キーでロボットを上下左右に動かすだけと操作は簡単だ。時速約3キロでゆっくり動き、「ラジコン」を動かす感覚だ。

加賀市医療センターが7日から始めた遠隔お見舞い実証実験は、「アバターイン」とパートナー関係にある加賀市から紹介を受けて行われた。医療センター関係者は実際に目にした「ニューミー」について「面白そうだし、親しみやすい」とした上で「これまでも遠方の方からニーズがあったが、新型コロナの影響でお見舞いに制限をかけている中、お見舞いができるのはいいこと。入院患者の負担が少ない点がメリットだと感じている」と話した。

「アバターイン」担当者によると、別の病院で、医師による「ニューミー」を使った回診や問診の実証実験を行い、医師から「コロナ病棟でも使える」「1回1回、防護服を脱ぎ着しないといけない中、これを使えば診療効率が上がり、かつ医者を守ることができる。期待できる」と高い評価を受けた。ある病院のコロナ病棟で近日中にも、実証実験を行う予定だ。また、介護施設でも遠隔お見舞いなどの実証実験を重ねている。最近では、カナダの病院など海外からも問い合わせがあるという。

「ニューミー」の生産数は約70体。東京オリンピック(五輪)期間中は空港や街の観光案内役として大量導入を目指しており、今年夏までに計1000体の普及を目標にしていた。五輪が1年延期となり、生産もコロナで遅れていることから、目標達成も来年の五輪までに目指す。「アバターイン」担当者は「今は医療系に優先的に、と考えています」と話した。【近藤由美子】