大手デパート、東京・日本橋高島屋S.C.は18日、緊急事態宣言を受け、臨時休業していた婦人服や紳士服など一部の売り場で営業を再開した。

徹底したコロナ対策から、サービスも変化していた。入店時、笑顔の店員に無言で出迎えられた。店員から「いらっしゃいませ」と声を掛けられることがない。店員は安全に配慮し、声掛けを控えている旨を記したバッジを着用。飛沫(ひまつ)防止のために、客から声を掛けられた場合だけ、対応していた。客から声を掛けられた際、正面ではなく、斜め後ろから答えていた。

担当者によると、この日の朝礼で「必要でない場合はお声掛けしないように」と伝えられた店員は驚き、ざわめいたという。担当者は「デパートで『いらっしゃいませ』『ありがとうございました』を言わないなんて、これまであり得ませんでしたが、これからはマスクを着けていても、最高の笑顔でお迎えします」と話す。また、密閉空間となるエレベーターを一部利用停止。基本的にエスカレーター利用を推奨している。

採寸担当者やコンシェルジュ、受付担当者らは客と近い距離で接客するため、フェースシールドを着用している。この日、同店では食料品以外の売り場の一部営業再開を広く告知しなかったため、通常に比べて客数は少なかったが、来客は商品を見たり、触れるなど、買い物を楽しんでいた。

江戸川区のパート女性(49)は「友人の出産祝いのベビー服がどこもやっていなくて買えなかったので、今日から一部営業と聞いて来ました。モノによっては直接見たいので、再開はありがたいです」と話した。

食料品売り場は営業を続けていたが、この日から営業再開したのは売り場の約6割。担当者によると、客からの要望が多数あったことなどから、一部で営業再開した。宝飾品や呉服、美術品などの売り場は宣言解除後に営業再開する。【近藤由美子】

○…首都圏にある大手デパートは食料品売り場を除き、軒並み臨時休業が続いている。首都圏の三越伊勢丹の百貨店や小型店全店は、食料品売り場を含む全館で臨時休業中。大丸東京店や松坂屋上野店は食料品売り場を除き、臨時休業中。そごう・西武も首都圏では、食料品売り場を除き、臨時休業が続く。そごう・西武の担当者は再開時期のめどについて「政府と自治体のそれぞれの見解を踏まえ、柔軟に対応していきたい」と話した。