新型コロナウイルスの影響で休校が続く兵庫県宝塚市で、ネーミングライツ(命名権)を用いた地域貢献が行われている。19日、市内の一角にある駐車場に用意されたのは、4カ所の事業所が作った80個の弁当。正午になると、100円玉を握った子どもが駆けつけ、多くの思いが込められた昼食を受け取った。

この日の弁当は「おひさま感謝弁当」「マーガレット弁当」など、4種類の名前がついていた。全員ボランティアからなる「宝塚こども応援プロジェクト実行委員会」が、事業所に1個500円で弁当を依頼。子どもには100円で販売している。その差額を埋めるべく、1口7500円(弁当15個分に相当額)で、活動に賛同する企業や個人に支援を募り、命名権が進呈される仕組みだ。

すでに一般個人だけで約50万円が集まり、発起人の1人である井上保子さんは「いろいろな人たちが関わり、その輪が広がっている。全国から支援していただいています」と感謝した。

「こども弁当」は4月28日に開始した。発電会社で働く井上さんが3月中旬に、給食停止による生産者らへの影響を考え、試行錯誤の末にシステムを考案。近隣の大阪府池田市に本社があるダイハツ工業からロゴをデザインした車の提供も受けた。

弁当には「あなたは地域みんなの大切なこどもだよ」と記される。食中毒対策で、6月からは弁当を事業所で直接手渡す方法に変更の見通し。休校解除後も給食の再開は不透明で、支援は続けられる。【松本航】