週刊文春で、新聞記者らと賭けマージャンをした疑いを報じられた東京高検の黒川弘務検事長(63)が、辞職する意向を固めたことが21日、分かった。

安倍晋三首相サイドにも伝えられたとみられ、今後後任の人事が進められる。

黒川氏をめぐっては、「文春オンライン」が20日、緊急事態宣言下の今月初め、産経新聞の記者2人、朝日新聞の元検察担当記者の4人と、賭けマージャンをした疑いがあると報道。外出自粛が求められていたさなか、東京高検トップに賭けマージャンの疑いが浮上し、野党だけでなく与党内からも辞職を求める声が出るなど、早期辞職は避けられない情勢とみられていた。

安倍政権は今年1月、法改正を経ずに異例の定年延長を閣議決定し、強い批判を浴びた。政権に近いとされる黒川氏の次期検事総長就任を見据えた動きといわれた。しかしここにきて、世論の批判や検察OBの反対が拡大。政府与党は今国会で成立を目指した検察庁法改正案について、18日に今国会での成立を断念したばかり。閣議決定で、8月7日まで東京高検検事長を務められることになっていた黒川氏の今後に大きな関心が注がれる中、まさかの展開となった。

一連の黒川氏問題の「原点」は、政府の強引で異例な閣議決定だけに、安倍晋三首相の責任も問われることになる。政権が受ける打撃は広がる一方だ。