アルピニストの野口健氏(46)が、ネット上で誹謗中傷を受けた経験から「体の内部から破壊されていく」と、その苦しさを表現した。

野口氏は26日、ツイッターを更新。「ネットでの誹謗中傷、何度か経験しましたが、ある日、突然バッタの大群が襲ってくるような。誰かが意図的に火をつけたかのように。僕の経験では1週間から長いと1ヶ月間強。そしてあるタイミングでピタリと止む。まるで何事もなかったかのように」と、自身の経験について書き出した。

誹謗中傷は多いときには1日数百件も送りつけられたという。「不思議なもので言葉の選び方に皆さん、共通点がある。心をえぐるプロ集団。ドロついた言葉の大群が押し寄せてくると、反論する気力すら失われ、また、反論すれば更にエスカレートするもの。ヘドロに塗れた憎悪の塊のような言葉にいつしか心底疲弊」と、反論することで炎上が激化する悪循環に陥るとし、「一つ一つの言葉に対しては『程度が低いな』と心の中で感じても、その大群が押し寄せてくるとコツコツとまるでボディーブローのように内臓がえぐられるかのような、気がつけば体の内部から破壊されていく。表面の痛みよりもたちが悪くまるで癌細胞の如く内部でじわりじわりと疲弊の波が増殖するもの」と、標的とされた側の苦しさをつづった。

「その渦中に置かれると、少しずつ周りが見えなくなっていく。世の中から自身の存在が全否定されてしまったかのような。リアリティーをもった錯覚ほど厄介なものはない」と野口氏。「でも、本当に不思議なもので、あれだけ憎悪に満ちたエネルギーを注ぎ込んで書き込んでくる方々が、何かのタイミングでサッと引く。まるでバッタの大群が次の獲物を見つけたかのようにパタリと姿を消す。食い尽かされかけた僕はポカンと。まだ骨は残っているのにと。集団心理とは不思議なものです」と、悪質ユーザーの“習性”についてつづり、「『指殺人』まさにこの言葉の通り。気がつかない内に足元にそのモンスターは次の機会を狙い潜んでいる。誰しもに」とした。