東京のシンボルが復活した。「東京タワー」は28日、4月8日の休業から約1カ月半ぶりに、展望台の営業を再開した。午前9時の営業開始前に、約20人が行列をつくり、多くの人が3密を避けながら、高さ150メートルの「メインデッキ」に向け、汗を流しながら約600段の外階段を上がった。この日、1日限定で東京観光復活の願いを込め、8色に輝く「希望の光」のライトアップも行った。

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「新しい日常」に向け、東京の街も動きだした。東京タワーでは、職員がマスクやフェイスガードを着用し、感染防止を徹底する中、50日ぶりに営業再開した。来月14日までは、午前9時から午後8時までの間、外階段の使用を推奨している。平時は土日祝日の午前11時から午後4時限定だが、夜間も開放されるためライトアップされる中での「レアな体験」も楽しめる。担当者は「少しずつですけど、ようやく戻ってきた」と、感慨深そうに話した。

東京タワーに上れることを知らなかったという、渡辺空君(7)は「何回も上って下りてをしたい」と、父陽介さん(38)を置き去りに、元気に階段を駆け上がった。陽介さんは「景色など楽しみながら上れた。気付けば子どもも汗をかいていて、良かったです」とレアな「体育の授業」を楽しんだ。

古川理緒ちゃん(4)は「大変で怖かったけど、頑張ったから、楽しかった」と、初めて訪れた東京タワーを満喫。約10分で上れたと話し「次も階段できたい」と、疲れ果てた母三緒さん(33)を困らせた。

32人乗りのエレベーターも、最大4人までと限定し、稼働しているが、担当者は、「階段で、ステイホームの運動不足解消にしていただければ」と話した。エレベーターで上った甘粕紘一さん(79)は「600段は、ボディーブローを食らっちゃうよ」としたが、笑いが止まらない。5年ぶりに眺めた展望台からの景色を「緑が多い。来て良かった。次は階段だね」と再チャレンジに燃えた。