将棋の藤井聡太七段が8日、17歳10カ月20日のタイトル戦史上最年少挑戦記録を白星で飾った。東京・千駄ケ谷で行われた、第91期ヒューリック杯棋聖戦5番勝負第1局で午後7時44分、157手の激戦の末、渡辺明棋聖(棋王・王将=36)を下した。

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藤井七段の地元・愛知県瀬戸市にある「せと銀座通り商店街」では8日、約50人が集まり、応援会が行われた。店舗のシャッターにジャンボ将棋盤が張り付けられ、ネット中継を見ながら渡辺戦の「大盤解説」が行われ、タイトル戦の初陣白星に地元の人々は喜びを爆発させた。

同商店街で洋品店を営む飯島加奈さん(39)は「普段の対局よりも緊張した。タイトル戦の独特の雰囲気があったけど、藤井さんはすごく落ち着いているように見えた」と話し、「幸運で勝ったというよりも実力で勝った。ぜひ地元にタイトルを持ち帰ってほしい」とエールを送った。

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、臨時休業する店もあったが、タイトル初挑戦初勝利は地元への大きな励みとなった。

瀬戸市で毎年9月に開かれる全国有数の焼き物の祭り「せともの祭」が、コロナ禍で中止が発表されたばかりだ。全国から多くの人が集まり、瀬戸焼を安く買える人気イベント。「地元の最大の祭りが中止になったけど、“藤井さん祭り”で盛り上がります。ほんと、ありがたい」と、飯島さん。最年少タイトル獲得への期待が高まっている。