東京・新宿区は18日、新型コロナウイルスの感染者が増加しているとされる、歌舞伎町など区内の繁華街事業者と連携し「新宿区繁華街新型コロナ対策連絡会」を設置し、区役所で第1回会合を開いた。

政府や東京都の小池百合子知事は、クラスター(感染者集団)形成が報告されたとして夜間接客を伴う飲食店が集まる歌舞伎町などの繁華街を“夜の街”と名指しし、休業の要請をする一方、キャバクラやバーなどへの入店自粛を呼び掛けた。政府は4月7日に緊急事態宣言を発令し、客足が遠のいた夜間接客を伴う飲食店は危機に陥った。

その中、新宿区は繁華街新型コロナ対策連絡会を設置し、感染時の対応マニュアルの策定、PCR検査などの疫学調査、衛生管理の講習会などで協力し合い、また区内医療機関の協力も得ながら飲食店営業ガイドライン「新宿モデル」を策定すると5日に発表していた。

第1回の会合を終えた吉住健一区長(48)は「新宿モデル」について「国や都が作ったものに独自性を出して、あまり変わったものにすると、何を参考にしたらいいか地元の業界の方も困ると思う。業界の皆さんの創意工夫の中で、こういうところに気を付けているというものを、付け加えていく形になると思う」と語った。その上で「守ることが出来ないルールを作っても仕方ない。事業者の皆さんとお話しし、実効性がある、意味のあるものにしたい。ガイドライン作りに関わっていただくことで、自分たちで作ったルールだから守るんだと責任感、意欲を持っていただければありがたい」とホストクラブなど地元の業界関係者にも「新宿モデル」作りに参画してもらう考えを強調した。

ホストクラブを運営する「スマッパ! グループ」の手塚マキ会長は「何回もお話しいただき、非常に歩み寄っていただいた」と吉住区長に感謝した。歌舞伎町のホストクラブはグループ化し、他の飲食店なども経営し企業化しているケースが多いといい、吉住区長はそうした経営者たちと来週から5回程度、会合を持つという。手塚会長は「(区長は)時間を設けてくれた。ホストクラブだけでなく、いろいろな業界にも派生していく流れが出来てくると思う」と期待した。

吉住区長は、感染者が出た店舗に重点的にPCR検査を行っている関係上、一定以上の感染者は出ているものの、区の医療体制は整っていると説明した。その上で「水商売をなさっている方も、地元の住民の一員。この街で働いているということは、区民ということになる。都市衛生の面から言えば、まずそういった方々の健康を守っていく。仮に感染した場合、多くの人に広まってしまうということに想像力を共有してもらうこと」と強調した。

さらに「ホストクラブの系列の皆さんとも懇談させていただいた。『我々は犯人捜しをしているんじゃなくて、どうやったら感染拡大を止めることが出来るのか、そこにしか興味がない』という話をさせてもらった」と続けた。ホストクラブの関係者からは「自分たちの健康のことを考えてもらっているんだ」との声があったといい、吉住区長は「かなり円滑にコミュニケーションを取ることが出来るようになっている。その輪を広げるべく勉強会をひき続きやっていく」と力を込めた。【村上幸将】